2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本目録学の基盤確立と古典学研究支援ツールの拡充-天皇家・公家文庫を中心に-
Project/Area Number |
24222001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 公 東京大学, 史料編さん所, 教授 (80292796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 陽介 東京大学, 史料編さん所, 准教授 (00242157)
遠藤 基郎 東京大学, 史料編さん所, 准教授 (40251475)
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
本郷 真紹 立命館大学, 文学部, 教授 (70202306)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (70332195)
金田 章裕 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (60093233)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 伏見宮家本デジタル画像 / 新訂増補版『日本古代人名辞典』 / 俊寛自筆書状の初確認 / 東山御文庫別置本 / 京都大学所蔵壬生家本 / 「陽明文庫講座」 / 禁裏本・禁裏文庫 / 陽明文庫所蔵「革文庫」所蔵資料 |
Research Abstract |
①学術創成研究費で蒐集した禁裏・公家文庫収蔵史料のデジタル画像約100万件の内、宮内庁書陵部所蔵伏見宮家本1,129部67,404画像の1画像毎の内容目録付きデジタル画像を、東京大学史料編纂所閲覧室の端末データベースHi-Cat Plus(「東京大学史料編纂所所蔵史料目録データベース」改良版)から閲覧可能な環境に整え、公開許可申請の準備を完了した。 ②『日本古代人名辞典』の増補・改訂のため、「木簡人名データベース」より「あ」で始まる新出人物451件の原稿を作成した。更に正倉院文書・同宝物銘文記載の新出人名の収集を行った。 ③宮内庁侍従職管理「京都御所東山御文庫別置御物」第20番の内、九条家旧蔵「弘仁格抄」2巻・「西宮記」2巻・「毛詩」2巻・「法華経音」1巻・「古文尚書」4巻・「文選」25巻の原本調査を行い、「古文尚書」等の高精細デジタル画像の蒐集を行った。陽明文庫所蔵「革文庫目録」・「貴重日記函目録」を作成し、革文庫所蔵資料の高精細デジタル画像2,578コマ、宮内庁書陵部所蔵「白川家日記」のデジタル画像41,826コマを蒐集した。 ④高松宮家伝来禁裏本の形成過程をほぼ解明した小倉慈司「「高松宮家伝来禁裏本」の形成過程」を発表した。京都大学総合博物館所蔵「壬生家文書」(狩野蒐集文書の内)990点余りの調書を作成し、書陵部所蔵壬生家本の目録を作成した。 ⑤一般市民向けに「陽明文庫講座」(「今にいきづく宮廷文化」2012-2013)3回・「西尾市岩瀬文庫特別連続講座「史料から歴史の謎を読み解く2012>」3回・金鵄会公開講座「新・古典を読む-歴史と文学-」6回を開催し、延べ約1,600人の受講者を得た。特に「陽明文庫講座」第2回(2013年1月)では、鹿ヶ谷事件にて喜界ヶ島に流罪となった後白河院近臣・俊寛の自筆書状を、陽明文庫所蔵『兵範記』紙背文書の中から初めて確認したことを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①蒐集した宮内庁書陵部所蔵伏見宮家本のデジタル画像の公開に関しては、2012年度の成果をもとに、2013年度に入って直ぐに宮内庁書陵部の許可が得られ、同年4月15日より東京大学史料編纂所閲覧室で公開を開始した。それにより伏見宮家本の大部分のデジタル画像をまとまった形で自由に閲覧出来るようになり、本研究プロジェクトが目指している新しい学問領域である「デジタル画像を用いた日本目録学」が具体的に体現できたと思われるから。特に1画像毎に付加された内容目録の情報は、伏見宮家本を利用した古典学の研究環境を飛躍的に改善すると思われるから。更に神祇伯を継承した白川家の日記(書陵部所蔵)のデジタル画像約4万コマを蒐集できたから。 ②禁裏・公家文庫の文庫史、目録学的研究に関しては、特に高松宮家伝来禁裏本の形成過程に関して、小倉論文「「高松宮家伝来禁裏本」の形成過程」を得て、禁裏文庫の形成史の内、不明だった部分が判明したから。壬生家本に関しては、京都大学総合博物館所蔵狩野蒐集文書中の壬生家本の内、学会で十分知られていない一括資料の目録取りが進むと共に、宮内庁書陵部所蔵「壬生家文書」目録がほぼ完成したから。 ③『日本、中国・朝鮮対外交流史年表(稿)』の新訂・増補に関しては、学術創成研究費の成果として2012度末に刊行したものを再校正し、誤りを訂正して第2刷を刊行できたことにより、今後の増補・改訂の準備が整ったから。 ④ 科研メンバーによる研究発表会を3回開催し、更に市民向け学術講演会を当初予定の10回以上開催できた。とりわけ「陽明文庫講座」では「俊寛自筆書状」の発見が話題を呼び、『兵範記』紙背文書の悉皆目録の作成という目録学的な研究と高精細デジタル画像による文字の読み直しとが相まって、新たな発見や歴史事実の解明に繋がり、古典学研究の奥深さや楽しさを一般市民の方に知っていただくことが出来たと思われるから。
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Strategy for Future Research Activity |
①蒐集した禁裏・公家文庫のデジタル画像の公開に関しては、早期の画像公開を求める要望が強いため、東山御文庫本70函分(勅封3・7・9~15・17・18・23~25・27・28・31・33・35甲・35乙・37・38・44~46・48・50甲・50乙・51~54・60・68・71~74・91~95・116・119・126~138・161~163・165・174・179~181・188函)の1画像毎の内容目録付き画像データを宮内庁侍従職の許可を得て公開した後は、1画像毎の目録作成は一時中断し、公開希望の多い九条家本のデジタル画像の公開準備をして要望に応えたい。陽明文庫所蔵目録の公開や貴重資料のデジタル撮影に関しては、俊寛自筆書状の初確認で、未紹介紙背文書の存在が注目されたため、全面的な紙背文書の撮影を視野に入れた撮影計画の見直しも検討したい。 ②『日本古代人名辞典』の増補・改訂作業は、当初計画より遅延しているため、2013年4月より研究員等を3名増員し、原稿作成のスピードアップを図ると共に、抜本的な解決を図るために、延暦年間(782-806)以降、9世紀の人名蒐集は一旦休止し、「木簡人名データベース」からの新出人名原稿の作成に力を注ぎたい。2013年度の原稿作成作業実績によっては2014年度以降の研究計画の一部見直しも検討する。 ③壬生家文書目録の作成に関して、京都大学の目録作成担当者の勤務日数を1日増すと共に、書陵部所蔵壬生家文書目録に関しては『禁裏・公家文庫研究』5輯(思文閣出版 2013年度刊行予定)に掲載し、壬生家本の復原的研究が2014年度から出来るよう準備する。 ④「陽明文庫講座」は原本を見たいという受講者の要望を入れ、2013年秋開催予定の京都府立京都文化博物館の「陽明文庫の名宝III」展と連携し、展示期間中に「講座」を開催し、より多くの市民に古典学への関心を喚起する予定。
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Research Products
(26 results)
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[Presentation] 誠仁親王の立場2012
Author(s)
金子 拓
Organizer
織豊期研究会
Place of Presentation
名古屋大学文学部(名古屋市)
Year and Date
20121123-20121123
Invited
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