Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 泰彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
野海 正俊 神戸大学, 理学研究科, 教授 (80164672)
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Outline of Annual Research Achievements |
齋藤は, 曲線上の放物接続と放物Higgs束のモジュライ空間を研究し,スペクトル曲線と見かけの特異点理論の関係について台湾大学, Lille大学において, 講演を行った. 稲場は, 分岐不確定特異点を持つ放物接続のモジュライ空間の研究を行った.野海は,Selberg型の q 超幾何積分と楕円超幾何積分について差分 de Rham 理論的研究を行った.山田はパデ法をq-ガルニエ系に適用し, 2種類の超幾何型特殊解を導びいた. 太田は, 結合型短パルス方程式に対する可積分な離散化とその解を導いた. 望月は, GKZ系上の混合ツイスターD加群の研究を改良した. また,混合ツイスターD加群の大部の著書をSpringerから出版した.吉岡はEnriques 曲面上の安定層のモジュライ空間を研究した.森は3次元端収縮射の中で, IIA型と呼ばれる端収縮射を分類した. 向井は, 正8面体的な種数2曲線のJacobian Kummer曲面から得られるエンリケス曲面の(無限)自己同型群を決定した. 藤野は, 半対数的標準対についての効果的消滅定理とその応用として半正値性定理を示した. 並河は, シンプレクティック特異点の有限性定理を示した.石井は, Special McKay 対応の大域化を行った.細野は, BCOV正則アノーマリー方程式の境界条件を研究した.戸田は, 3次元カラビ・ヤウ多様体のドナルドソン・トーマス不変量から定まる生成関数のフロップによる変換公式を与え, S-双対性理論との関係を議論した.入谷はトーリック多様体やその完全交差,グラスマン多様体に対するガンマ予想を研究した.中島は, 3次元N=4超対称性ゲージ理論のクーロン枝の研究を行った.小野は, Lagrange 部分多様体の Floer 理論とそのミラー対称性への応用の研究を深谷. Oh,太田と行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究課題について、順調に成果がでている. 研究分担者および連携研究者は11件の国際共著論文を含む28件の査読付き論文を出版し, 投稿中のプレプリントも多数存在する. また, 研究代表者, 分担者, 連携研究者は, 89件の国際学会での招待講演を含む113件の招待講演を行った. 望月拓郎は,Springer Lecture Note in Math. から 混合twisterD加およびその基本的な関手性について大部の著書を出版した.これにより,Simpsonの基本予想が証明された.望月は, フランスIHESのセミナーや,ドイツのOberwolfachの研究集会で招待講演を行った.5月に国立台湾大学のTIMSで行われたパンルヴェ方程式の国際研究集会で,齋藤が連続講演を行った.7月に神戸大学において,Quiverに関するKobe-Lyon Summer School in Math. 2015を開催した.齋藤は10月にフランスのLilleで開催された微分および差分方程式に関する研究集会に招待され,講演を行った.12月に, 国際基督教大学で「Various Aspects in Algebraic Geometry」を開催し,J. AndersenやD. Morrison招聘し, 位相的場の理論と共形場理論について,また代数幾何学の物理学の応用等についての講演および討論を行った.2016年2月には, 神戸と京都で「Higher dimensional algebraic geometry and around」を開催し,高次元代数幾何学の最近の発展について研究発表と議論を行った.関連する研究集会等の予定を適宜HPにて掲載し関連研究者へ情報提供した. 齋藤は,2016年3月「接続のモジュライ空間とパンルヴェ型微分方程式」という題目で日本数学会代数学賞を受賞した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者, 研究分担者, 連携研究者はそれぞの分野で研究を進めるとともに, 国際共同研究を積極的に進める. 研究課題(a)に関しては, 確定特異点のスペクトルタイプを固定したときや, 不分岐の不確定特異点を許容する場合のモジュライ空間の構成,シンプレクテック構造の存在を示す.また,見かけの特異点の理論を用いて,接続の具体的な普遍族の構成やスペクトル曲線との関係, モノドロミー保存変形の微分方程式の記述等を詳しく記述する. また, 近年の可積分系の理論の発展, 特殊多項式, ミラー対称性との関連についても, 研究を進める. また, H28年度には,国立台湾大学において「Flat connections, Higgs bundles and Painleve equations」という国際研究集会をChang-Shou Linらと共催する. 研究課題(b)に関して,高次元代数幾何の研究を進めるとともに, 極小モデル理論, ベクトル束のモジュライ空間, 安定性条件, ミラー対称性とカラビ・ヤウ多様体との関係, シンプレクテック多様体の変形理論, Fano多様体の変形理論, 接続とHiggs束のモジュライ空間のラグランジュアンファイブレーションの構造の研究を行う. 2016年12月後半に, カラビ・ヤウ多様体とFano多様体のワークショップを開催する. 研究課題(c)については,現在までの研究を続けるとともに,量子不変量や共形場の理論との関係について新しい理論が報告されているが,これらを検討して他分野の研究との関係を明らかにしたい. また,本科研費の最終年度にあたり,2016年12月に, 神戸大学で代数幾何学と可積分系に関する大きな国際研究集会を開催する.今後も, フランス, 韓国, 台湾, シンガポール, アメリカ, ハンガリーの研究者との国際共同研究を進める.
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