2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24226017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅沼 克昭 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10154444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20622038)
長尾 至成 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授 (10315054)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 超高耐熱実装技術 / 銀スパッタ膜接合 / メタル・ペースト焼結接合 / 光接合 / 次世代半導体 / ウィスカー / ナノ構造制御 / エレクトロマイグレーション |
Research Abstract |
ワイドギャップ・パワー半導体の社会実装にむけて、高温環境動作に要求される実装技術の詳細が明らかになりつつある。本年度は、高温実装のボトルネックになるダイアタッチと配線に焦点を当て、新技術開発と信頼性評価研究を行っった。 1) SiCダイアタッチの応力緩和放熱接合材として採用したZnシートによる接合であるが、純亜鉛の融点の高さが熱応力の低下を阻んでいることがわかった。その解決策として亜鉛表面に錫メッキを施し、錫-亜鉛界面で局所的な共晶反応を誘起して融点を下げることを試みた。その結果、接合温度を450度から250度程度に下げることに成功した。 2) メタルペーストを用いた焼結接合については、アトライタ・ボールミルを使って銅及びニッケルとのハイブリッドを試みた。水素還元炉を用いれば銅フレークも焼結可能である事が判明し、銅フレーク表面の酸化状態と溶剤を調整することで実用に足る20MPaのせん断強度を得た。 3) 完成した銀スパッタ膜による無加圧接合技術を基礎にフリップチップ接合や光による接合を試行した。透明なガラス基板では大強度光による低温無加圧接合ができることがわかったが、フリップチップはチップのそりによる接合不良が課題として残った。また、銀以外の金属として、銅スパッタ膜でも還元雰囲気等の条件を工夫することにより、銀と同様の接合を実現する可能性を示した。 4) エレクトロマイグレーション(EM)その場観察・評価装置をもちいて、Sn-Ag-Bi-InはんだのEM耐性評価を行い、SiC粒子を添加することでEM耐性が改善されることを示した。また、銀導電性接着剤でもEMが発生することを示した。 5) パワー半導体の電極面の配線については、アルミリボンおよびアルミ/銅クラッド配線を評価した。熱サイクル試験の結果、アルミリボンは耐熱性に難が有り、銅を主材とする構造が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀を使った2種の接合技術、すなわち銀薄膜接合とフレークペースト焼結接合はほぼ完成し、高温で動作可能な次世代ワイドバンドギャップ半導体の超高耐熱実装技術の実用化に目処が立ったと言える。これは本研究において、銀微粒子及び微細化された粒界構造の焼結機構における内部応力の影響が詳しく解明され、制御技術が進んだことによる。 一方で、新たに銅を用いた同様の微粒子・薄膜接合も可能であることを示し、より安価な銅を使った実装の可能性が見出された。今後、これらの銅接合プロセスの理解と制御技術を開発研究することで実用化に至るべく着実に進んでいる。 このように超高耐熱実装を実現するためには、金属材料の微細構造の理解と制御技術が不可欠であり、我々の研究はその電子実装技術への応用と学問的基礎の進化の両方に大きく寄与しており、産業技術へのさらなる展開が見込まれる。 得られた研究結果は国際的な学会誌に出版すると共に、国際会議等でも多数の報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 高耐熱SiCハイパワーデバイスのダイアタッチ材料としてZnによる接合を進めているが、融点が比較的高いためTransient Liquid Phase(TLP)を利用した接合を研究し、250°C以上の耐熱性を持ち、かつ応力緩和特性のよい接合構造について研究を進める。 2) 金属ペーストを用いた焼結接合については、銀フレークペースト、もしくは銀ナノ粒子とのハイブリッドの技術が確立しており、量産技術に向けたプロセス最適化と熱サイクル耐性評価に重点を移す。一方で、より安価なCuフレークペーストについても、ペースト特性と接合条件を最適化し、十分な焼結接合強度を得るように研究を進める。その他、Ni、Zn等の金属フレーク粒子、もしくはそれらのハイブリッド・ペースト材料による接合技術開発を継続する。 3) 完成した銀薄膜直接接合技術を応用し、銅などの他の金属による薄膜接合技術を開発する。また、マイクロ構造による応力緩和機構や、フリップチップ接合への応用研究を進める。 4) EMその場観察・評価装置をもちいて、接合材料の評価を進める。試料環境や観察条件を改善し、その発現機構の理解に迫る。実際のパワー半導体実装構造を前提にしたEM発生の検討し、試作品を用いた観察により理想的なデバイス構造を検討する。 5) パワー半導体の電極配線として耐熱性に限界のあるアルミではなく、Cuを母材とする複合材料を検討し、信頼性評価実験を行う。同時に、自由な発送でリボン以外の配線構造を開発研究して提案を行う。 6) 解明が進んだSnウィスカ現象については、ウィスカ発生を抑制するだけではなく、積極的に応用する接合プロセス開発へと研究を進める。また、課題として残っている分子動力学等を用いた原子レベルの発生機構の研究を進める。
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Research Products
(28 results)