2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24226017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅沼 克昭 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10154444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 至成 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10315054)
菅原 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20622038)
酒 金テイ 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00467622)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 電気接続・配線 / パワー半導体 / 焼結接合 / ワイドバンドギャップ半導体 / ダイアタッチ / 高温耐熱 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ag-O反応に基づくストレスマイグレーション接合の基本メカニズム解明、Ag低温焼結現象の解明、SiC微粒子添加による組織安定化の実現、これらメカニズムを基礎としたCu粒子の低温焼結への挑戦で成果を挙げた。 まず、低温におけるAg接合の基本メカニズムを高分解能TEM評価とAg-O状態図評価により解明した。Si基板上に形成したAg薄膜には、膜厚方向に細いカラム状に結晶粒が形成される。200℃程度で酸素の粒界拡散は異常に速く、このためAg-O反応が生じ、状態図計算では僅かな圧力が掛かると液相線低下が生じ、粒界からAg-Oが「ナノ噴火」を引き起こす。このAg-O噴火と同時に還元が生じ、Ag膜表面にはAgアモルファス相が堆積する。実際に、Ag膜表面にはアモルファス相が形成され、その中にAgナノ結晶が生じる状態が観察された。状態図計算から150℃程度がその下限温度と評価され、実際の観察でAg膜表面ヒロック形成が150℃以上で生じることが確認された。 Ag粒子焼結では、フレーク状銀粒子が加工導入された微細組織を有することを明らかにし、Ag薄膜と同様に粒界での酸素の吸収、Ag-O液相形成で粒子間にアモルファスの染み出し、さらに、同時に生じる還元反応でAgナノ粒子結晶化と成長の一連の反応が進行し、200℃の低温における焼結が実現する。また、その焼結現象の下限温度が、150℃程度であることは前年度の成果を裏付けるものである。 SiC微粒子添加によるAg焼結層の高温安定化は前年度提案し、今年度の成果として実際に検証し、250℃までの温度域では、サブミクロンSiC粒子を2%以下ペーストに添加するだけで十分に安定化することを証明した。 Cu粒子の低温焼結技術への試みでは、Cuの酸化を抑制するための溶媒と焼結雰囲気選定が重要であることを明らかにし、300℃程度の温度で高強度接合が出来ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的の一つである、低圧・無加圧下の低温でAg焼結接合が実現する基本メカニズムを解明した。これまでの金属の焼結メカニズムでは例が無いもので、ガスと金属の反応、粒界での液相形成、粒界液相が噴火し表面堆積、この一連の反応で粒子間低温焼結や接合界面形成が実現している。 Agは200℃近傍で大気中酸素と反応し、特にAg粒界に沿ってAg-Oのアモルファス相(液相)を形成することをTEM組織観察と状態図評価により明らかにした。ここに、基板とAg膜の熱膨張差により生じる圧縮応力が掛かり、粒界から自由表面へAg-O液体が吹き上がる「ナノ噴火」現象が生じる。その火山灰に相当する「Ag-O」は200℃近傍で即座に還元され、金属Agの堆積により膜表面にヒロックを形成する。接合においては、このヒロックが2つの接合面のギャップを埋める。この現象が、新たなストレスマイグレーション接合法として技術提案され、知財申請も済んでいる。 一方、Ag粒子焼結接合では、用いるフレーク状のAg粒子が加工により導入された微細な組織となり、上記と同様に粒子内粒界に沿って酸素が吸収されアモルファス相となり、粒子外へ染み出すことで低温焼結が進行する。 Ag粒子焼結接合の高温における接合組織の安定性を高めるため、Ag粒子ペーストへ僅かな量のSiC粒子を添加することで、200℃以上の温度域でAg焼結接合層が安定化し、1000時間を経ても組織粗大化が生じないことを明らかにした。また、Agに生じる特殊な反応をよりコストメリットの高いCu粒子へ展開を試み、その可能性を見出している。 以上のように、本提案者自身が開拓したAg粒子焼結接合を出発として、そのメカニズム解明や新たなAg膜ストレスマイグレーション接合法開発、さらに、他の材料への展開など、本基盤研究では金属の低温焼結で学術的に新たな現象解明から実用レベルの技術開発まで繋げている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の計画として、本研究で解明した低温におけるAgの新たなメカニズムを一昨年に開発したポリオール合成粒子に対する焼結現象として適用の可否を高分解能観察と状態図計算から見極め、メカニズムとして完成させる。ポリオール合成粒子の場合には、基本は粒界が存在しない単結晶と考えられるので、粒界に酸素が吸収されるメカニズムでは全てを説明できない。この矛盾をナノレベルの状態観察を通して見極め、その理論的考察を進める。課題としては、粒界の液相形成で説明が付かない場合に、新たなAg-O反応に基づく焼結現象の理論構築の可能性を見いだせるかにある。 ストレスマイグレーション接合技術は、実際のパワー半導体実装に使える接合中間層として形成することが、技術の汎用性を高める。そこで、Ag薄膜をコートした接合材として準備し、その技術としての可否を見極める。 SiC粒子添加ペーストは現実的なペーストとして実用性が高いので、実際のパッケージ化を行い、特にパワーサイクルなどの電気的特性を実施し、エレクトロマイグレーション劣化の可能性を含めて評価する。この課題は、パッケージ化は、多数サンプルを樹脂モールドなどで成形する必要があり、協力企業を確保する必要があるので、その点開方針を検討する。 Cu粒子の低温焼結現象解明では、還元性溶媒の実際の効果の評価手法が存在せず、溶媒を変化させたサンプルを多数評価し、焼結状態のナノ構造観察により焼結現象を追うことになる。このメカニズムを特定できれば、新たな技術改良やより低温化などの展開が可能になると期待される。今年度には、どのような条件が影響を与えるかの情報を得て、次の研究展開への指針を確立する。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] WBG Die-attach Ceramic Substrate for Severe Thermal Cycling2016
Author(s)
K. Suganuma, H. Zhang, S. Nagao, T. Sugahara. M. Ueshima, Y. Furukawa, K. Minami, H.-J. Albrecht, K. Wilke, Y. Shirakawa, S. Kurosaka. M. Tsujimoto, M. Kiso
Organizer
TMS 2016 145th Annual Meeting & Exhibition
Place of Presentation
Nashville
Year and Date
2016-02-14 – 2016-02-18
Int'l Joint Research / Invited
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