2012 Fiscal Year Annual Research Report
胆嚢・胆管の形態形成・再生能と先天性疾患の分子機構の解明
Project/Area Number |
24228005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九郎丸 正道 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00148636)
恒川 直樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50431838)
多屋 長治 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 室長 (90175456)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | SOX17 / 肝臓 / 膵臓 / 胆管 / マウス |
Research Abstract |
本研究課題は、胆管系の発生・形態形成過程でのSOX17 陽性の胆管細胞の動態・機能を明らかにすることにより、哺乳類の胆管系の構築の分子機序とその形成異常による肝・膵・胆管系の先天性疾患の分子基盤の解明を目的としている。Sox17 +/- (ヘテロ)マウス(B6系統)では、SOX17 陽性の胆管前駆細胞の増殖能が低下し、13.5 dpc 頃から異所性の肝外胆管の形成、さらに胆嚢の低形成、胆嚢・胆管上皮細胞の管腔内への剥離による胆管閉塞が誘導されることを見出している。 初年度は、胎生期の肝炎マーカーの発現上昇のタイミングを詳細に解析した結果,胆汁の十二指腸への分泌開始後すぐに、肝炎マーカーの発現上昇することが判明し、肝臓からの胆汁の胆道への分泌後に肝炎が発症する証拠を得た。さらに、肝炎発症でのマウス系統差を解析した結果,肝炎を発症するB6系統で、肝炎を発症しない系統(ICR, 129)と比べ、(1)顕著にSOX17蛋白の発現レベルが低下していること、(2)異所性の肝管の形成率が有意に高いことが判明し、新生子肝炎の発症と異所性肝管の有無は、胎子のSox17 +/-胆管領域でのSox17 発現量に依存していることが明らかとなった。これは、SOX17 陽性の胆管細胞が、細胞自律的な異常により胆道閉鎖/肝炎を発症していることが示唆された。 また、一部のヒトの先天性胆管閉鎖症に認められる左右軸の側性の異常、胆管上皮の線毛(シリア)の分布には、Sox17へテロ胆管では異常を示さなかった。最後に、従来から提唱されていた胆管形成に関わるNotch, Nodalシグナル関連遺伝子の発現レベルに関しても,ヘテロ、野生型において有意な差異は認められなかった。以上の結果から、Sox17 +/- (ヘテロ)マウス(B6系統)は、新しいタイプの胆管閉鎖症の病態モデルであることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、おおむね進んでいる。また、当初計画していない(投稿論文のrevisionのため)ヒト疾患との関連性に関する遺伝子群の発現解析、他の胆道閉鎖モデルとの共通性と差異についての表現型解析を追加的に行い、胆管でのSOX17の重要性の再認識と、別の側面からのアプローチの可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Sox17変異マウスの系統差解析により、ヘテロ変異での胆管前駆細胞でのSox17発現レベルにB6での肝炎発症の表現型が依存していることが判明した。そのため、Sox17下流の遺伝子群の同定の精度を挙げるため、マウス系統別に胆管原基でのマイクロアレイ解析を追加した。
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[Journal Article] Sox17 haploinsufficiency results in perinatal biliary atresia and hepatitis in C57BL/6 background mice.2013
Author(s)
Uemura M, Ozawa A, Nagata T, Kurasawa K, Tsunekawa N, Nobuhisa I, Taga T, Hara K, Kudo A, Kawakami H, Saijoh Y, Kurohmaru M, Kanai-Azuma M, Kanai Y.
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Journal Title
Development
Volume: 140
Pages: 639-648
DOI
Peer Reviewed
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