2012 Fiscal Year Annual Research Report
e-Legislationに基づく法制執務方法論の情報科学的基礎付けと検証
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24240040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角田 篤泰 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80292001)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 法律情報 / 法制執務 / 例規データベース / 立法過程 / 自治体政策 / スーパーコンピュータ |
Research Abstract |
本研究は、e-Legislation(電子化法制執務)の方法論と支援システムの提供によって、自治体法務を支援するとともに、政策形成や条文記述について情報科学的で定量的な分析素材となるような客観化を促進し、立法過程を「工学」的に扱う学問的基盤を与えることが目的である。本年度は、その目的を実現するために、研究開発のための環境基盤を整えたり、提供システムの設計に関する研究を行った。詳細は実施計画の順に次の通り。①試作システムのための調査は終了し、要求分析の成果を設計に組み込んだ。②試作システムの立法事実の収集機能の基本設計を終え、論文発表した。③試作システムの合意形成機能の基本設計を終え、論文発表した。④最終的に提供するe-Legislation支援システムで用いられる政策知識の分析作業を開始しているが、知識表現形式のため設計は試行錯誤を繰り返しており、予定の達成度には至っていない。⑤最終的に提供するe-Legislation支援システムの設計時に参照される条文表記法の文法の抽出については、当初全体の50%を目指していたが、10%ほどの作業進捗である。⑥例規データベースに構築については、試作版は終了し、既に全国約1790団体の自治体向けて公開を行い、実務に利用されている。登録自治体も年度末の時点で1000団体以上に達しており、現時点でも社会貢献度が大きい。⑦スーパーコンピュータを用いて、収集した自治体例規の全組合せに対する類似度計算を行い、その分析結果から例規の自動分類を行って、試作版の例規データベースにおいては、動作検証も終了している。現在、公開版の方の例規データベースに新たに集積した1000自治体以上の例規に対しても、スーパーコンピュータによる類似度再計算を終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
例規データベースの開発・提供の進捗については、試作に留まらず、既に実際に公開して、自治体業務の利用に供しており、予定よりもかなり進んだ進捗となっている。 一方、遅れている部分は、政策構造の知識化や条文文法の分析である。実際に研究に取り組んでみると、具体的な自治体例規の分析状況に依存するため、設計方針や分析方針自体の予想外の修正が頻繁に必要となり、やや遅延している。 以上により、進んでいる部分と遅れている部分を勘案して、概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
作業が遅れている政策構造の知識化は、今年度の作業配分を多くすることで対応する。また、条文文法の分析に関しては、法令翻訳に関する他の研究プロジェクトの作業成果を利用できることが判明しており、本研究としては、その成果の利用によって対応する方針である。研究の本質でなく準備部分なので、他の研究の利用であっても問題はない。 以上の結果、全体の研究進捗には影響を与えないと予想している。
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