2012 Fiscal Year Annual Research Report
温室効果ガス観測衛星「いぶき」による発生源解析のための局所CO2輸送モデルの開発
Project/Area Number |
24241008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 裕昭 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 副研究部門長 (60357051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (30222433)
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (40273198)
斎藤 琢 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 特定研究補助員 (50420352)
菅原 広史 防衛大学校, 応用科学群, 准教授 (60531788)
石戸谷 重之 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (70374907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物質循環 / 都市フラックス / 局所CO2輸送モデル / GOSAT / 複雑地形 |
Research Abstract |
「いぶき(GOSAT)」データを用いた逆問題解析手法開発に使用する局地CO2輸送モデルについて(AIST-MM)、光合成量・呼吸量の推定に必要な土壌水分モデルの組み込みと気象データの取得・組み込みデータ化を行った。CO2交換量の広域推定を行うために、TKY(落葉広葉樹林)サイトおよびTKC(常緑針葉樹林)サイトのタワーフラックス、積み上げ法、チャンバー法による観測データを用いて生態系モデルのチューニングを行い両生態系の炭素動態を高精度で再現可能にした。また大八賀川流域を対象に、100m解像度で推定した日射量のデータベースを基に、1kmスケールでの格子内の年間日射量変動について調査し、格子内の日射量の変動は標高の差によってかなり説明されることが分かった。さらに、標高差のNEEへの影響等について調べるため、Saitoh et al.(2012) で開発した生態系モデルを、同流域に対して計算できるよう必要な開発を行い、テスト計算を行った。 TKYサイトにおける通年観測を実施するとともに、酸素同位体比のデータを取得した。化石燃料起源のCO2について燃料種別について分離できる可能性があることから、質量分析計を用いた大気中酸素濃度の高精度連続観測装置の開発を推進した。酸素濃度を±1 ppm、二酸化炭素濃度を±0.3 ppmの精度で観測できる装置の開発に成功し、つくばにおいて試験的な連続観測を開始した。 東京におけるCO2排出量の実態を把握するための観測サイトを渋谷区の東海大学キャンパス内に設置し、平成24年11月より長期計測を開始した。同年11~12月の初期結果では、CO2排出量が午前中と夕方~夜にかけてピークをもつことがわかった.電気ガス等のエネルギー消費量や自動車交通量の解析から、午前中のピークは住宅・ビル起源、夕方のピークは交通起源であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の目標であった都内の観測点を東海大キャンパス内に確保し、データ取得をはじめることができ、かつ取得したデータの分析を開始できた。局所CO2輸送モデルについては常時逆問題解析手法を開発している東大大気海洋研と情報交換を実施しており、GOSATデータ解析における意向を聞きながら開発を進めている。TKY,TKCにおけるデータ取得も順調に進んでおり、高分解能のデータ解析にメドがつきつつある。高精度酸素濃度計による化石燃料種別の推定にも一定のメドが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
東京東海大でのCO2フラックス観測を安定・持続的に続け、通年のデータ取得に努めその結果の解析を行う。山岳部のTKY,TKCデータを中心に、周辺の地形のスケールとの関係をより明確にしていく。生態系光合成・呼吸モデルについて、酸素同位体比分析の結果とも合わせて、モデルの結果と比較可能なレベルまで持っていく。高精度酸素濃度観測からCO2の燃料種別の推定について、データの解析とともにその検証の手法について検討を行っていく。これらの結果をふまえ、10月に国際ワークショップを高山市で開催する。また、Group on Earth Observationの炭素循環Task(CL-02)の動向を踏まえ、積極的に情報の発信を行っていく。
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Research Products
(10 results)