2013 Fiscal Year Annual Research Report
住民と行政が協力して災害時要援護者を守るシステムの開発
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24241057
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三浦 房紀 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60109072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 素之 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00304494)
中村 秀明 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20207905)
多田村 克己 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30236533)
朝位 孝二 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (70202570)
三石 真也 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90513317)
中田 幸男 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90274183)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域の防災力 / 防災情報システム / 災害時要援護者 / 安否確認 / 災害情報 |
Research Abstract |
①地震計の設置を工学部構内の8階建ての総合研究棟の地下一階と屋上に設置し、観測体制を整えた。折しも、3月14日未明に周防灘で地震が発生し、本学で最初に記録することができた。現在その解析を進めている。今後は本地震計で観測された計測震度と気象庁発表の宇部市における計測震度とを比較し、計測震度の地域特性も明らかにしていく。 ②総合研究棟屋上および宇部市役所屋上に3次元雨量計を設置した。宇部市役所屋上には通常の転倒マス式雨量計が設置してあるので、通常の雨量計と3次元雨量計の比較検討ができる体制が整った。今後は降雨強度や風向・風速との関連で比較検討を行っていく。 ③携帯電話端末を使った安否確認情報提供、情報伝達ソフトの開発を行った。開発したソフトの使用性を学生を使って検討した。実際に使用するのは、高齢者や災害時要援護者なので、その人たちにも使いやすいデザインを検討している。 ④デジタルサイネージの表示する文字や画像の切り替え速度、移動速度の追随性に関する基本調査を開始した。まずは学生を対象の調査を開始したが、地域住民、特に高齢者が対象になることから、動体視力との関連で調査する方法を検討中である。 ⑤衛星データを用いて、地震や洪水による斜面崩壊や、洪水や津波による浸水領域の抽出に関する研究を開始した。まずは光学センサーによる衛星画像を処理して被災領域の抽出から始め、合成開口レーダーを用いたマイクロ波センサーによる解析も開始した。 平成25年度は、以上のように各サブシステムの開発、基本項目の研究を行うことによって、これらを一つのシステムとして統合するための準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、災害情報を地域住民が自ら取得、処理、伝達することによって安全で安心して暮らせる社会を実現するための情報システムを構築することである。 本システムの全体系は、地震、気象情報を自ら設置した観測機器から入手するとともにインターネットを通じて気象庁が発表する情報も入手する「インプット系」、取得した情報を行政と住民に内容を仕分けて提供する「処理-サーバー系」、およびこれらを伝達・表示する「アウトプット系」とから構成される。 「インプット系」としては、地震計の設置、3次元雨量計の設置を行って観測を開始している。「アウトプット系」としては、まず安否確認については携帯端末(スマートフォン)のアップリケーションを開発することによって、一般住民対象の情報提供にはデジタルサーネージを使って情報提供するシステムを開発している。これらを統合する「処理-サーバー系」についてもクラウドシステムでその実現を図りつつあり、これらを統合する準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度で述べたように、本研究で構築を目指すシステムの各要素である「インプット系」、「アウトプット系」、それらを結びつける「処理-サーバー系」の個々のサブシステムはほぼ開発することができている。今後はこれらを統合し、全体としてのシステムとして構築することである。 それと並行して、ユーザーである行政や地域住民、災害時要援護者が実際に使用する場面を想定して、必要な情報を必要な形に表示すること、また災害時要援護、特に視覚障害者、聴覚障害者を対象にした端末の利用しやすさなどの「アウトプット系」の改良を図っていく。そのためには関連する行政の部署、高齢福祉課、障害福祉課、市民課、さらには消防や社会福祉協議会などと共同でシステム改善を進めていく。 また、災害が発生した際には、特にそれが大規模であった際には、どこがどのような状況なのかを広く概観できる情報が必要であることが、平成25年度の山口県内の大規模豪雨災害でも切実な問題として明らかになった。これを解決する一つの技術が衛星リモートセンシング技術を使って、被災状況を把握する方法である。特に平成26年度にはJAXAが合成開口レーダーを搭載した人工衛星ALOS2をうちあげる。このセンサーを使えば、昼夜を問わず天候を問わず地上の状況を把握することが可能である。今年度はこの合成開口レーダーを使った災害情報提供に関する研究も進める。
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Research Products
(2 results)