2013 Fiscal Year Annual Research Report
第一次世界大戦と現代世界の変貌についての総合的研究
Project/Area Number |
24242021
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 耕太郎 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00264789)
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (00362400)
小関 隆 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10240748)
河本 真理 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10454539)
早瀬 晋三 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (20183915)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
田辺 明生 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30262215)
津田 博司 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (30599387)
服部 伸 同志社大学, 文学部, 教授 (40238027)
坂本 優一郎 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (40335237)
小野寺 史郎 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (40511689)
鈴木 董 東京大学, 東洋文化研究所, 名誉教授 (50162962)
久保 昭博 関西学院大学, 文学部, 准教授 (60432324)
黒岩 康博 天理大学, 文学部, 講師 (60523066)
籠谷 直人 京都大学, その他の研究科, 教授 (70185734)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70243136)
伊藤 順二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80381705)
奈良岡 聰智 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90378505)
王寺 賢太 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90402809)
藤井 俊之 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (30636791)
小野 容照 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (00705436)
小川 佐和子 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (90705435)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 第一次世界大戦 / グローバル化 / 総力戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第一次大戦についての網羅的調査を目指すものではない。ここで求められるのは現象面における歴史事実の網羅ではなく、むしろ的確な主題設定を行なうことにより、上述の「世界性・総体性・持続性」のシステムそのものを問うことにある。本年度は以下の二点に焦点を当てて研究を遂行した。
・世界性:日本/東アジアにおける日英米中露の関係を事例として、第一次大戦が惹き起こした国際関係のシステム変化を検討した。ここで主題となるのは、戦争を通して出現した世界の一体化であり、世界の一体化がさらに戦争の世界化を促すというプロセスである。例えば、一見遠い関係にあるとも思える対華21か条の要求と青島占領とシベリア出兵は、実は第一次大戦によって生じた新しい国際関係システムによって惹起されたものにほかならなかったし、ヨーロッパの第一次大戦は一部の日本軍人に過剰なまでの焦燥を与え、それが後の満州事変・日中戦争へと繋がっていった。このように日本/東アジアにおける第一次大戦の中には、加速度的にグローバル化されていく世界の関係性が見出されるのである。
・総体性:いうまでもなく第一次大戦は、政治経済、科学技術、マンパワー、文化芸術など、すべての資源を戦争に動員する20世紀的な国家システムの最初の実験場であった。今年度は、徴兵制度などの軍事制度はもちろん、芸術(音楽・絵画・文学)ならびに生活(食糧・国債・医療)に焦点を当てた。一見遠く離れて見える諸現象の背後には、「動員」という新しい社会システムの誕生が見出される。つまり「国家による動員」だけでなく、「市民社会による協力」のモメントも重要なのであり、芸術プロパガンダなどから明らかなよう、生活環境・個人の内面・感性・身体にまで国家が浸透していくのである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年1月には、これまでの研究の成果発表として、欧米の大戦研究の中心的な研究者を招いて、国際ワークショップ「第一次世界大戦再考」を開催した。今年度までの研究蓄積の自己点検としても、また、欧米研究拠点との協力体制の構築という面においても、非常に有意義な成果を収めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
国際ワークショップで明らかになった問題点は、これまでの研究蓄積そのものというよりは、その海外向けの発信力である、研究成果の英語やその他の言語での発表が必要不可欠となった。基本的な用語の日本語訳の統一、検討、ならびに、研究分担者の主要論文の英訳を、とりわけ来年度のもっとも重要な課題として進めていきたい。
|
Research Products
(13 results)