2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24242030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 研究員 (10272527)
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20269640)
HUDSON Mark 西九州大学, リハビリテーション学部, 教授 (20284052)
木山 克彦 北海道大学, スラブ研究センター, 助教 (20507248)
安達 登 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
石田 肇 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70145225)
増田 隆一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192748)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2016-03-31
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Keywords | アイヌ民族 / オホーツク文化 / 古代DNA / ドメスティケーション / 集団統合 / 海洋適応 / 狩猟採集民 / 民族接触 |
Research Abstract |
研究初年度の2012年度は、研究経費の配分が年度後半となり、実質的に11月から3月までしか研究実施期間がなかったため、研究計画の中心に位置づけたフィールド調査が実施できなかった。よって当初設定した研究計画の中でも、①既存の出土資料の分析作業と、②民族文化形成過程に関する考古理論からの検討、③共同研究会を開催し、これまでの研究課題の整理と、二年度目以降の具体的な研究項目の参加研究者間での調整と意見交換をおこなった。 ①の研究項目では、2011年度の礼文島での我々の調査グループによる調査において出土した家畜動物であるイヌとブタの計測データの取得と動物考古学的検討を行うとともに、古代DNAサンプルの抽出度行い、アイヌ文化形成に集団的、文化的に大きく関与していると想定されるオホーツク文化における家畜動物の系統性と動物地理学的基礎データの蓄積を図った。②の項目としては、ヨーロッパ考古学における民族形成、集団移動に関する事例研究に関する文献を系統的に収集し、またオックスフォード大学やアバディーン大学を訪問して、研究者との協議を重ねながら、中世温暖期以降の民族形成の世界的動向の中でアイヌ民族文化の形成過程を比較考古学的に議論する可能性について意見交換と共同研究の将来的報告性の検討をおこなった。③の研究会においては、すでに採取済みである礼文島北部に位置する久種湖の湖底堆積物の分析成果について、年代的側面からの報告があり、礼文島において更新世終末期から連続した気候環境変動の基礎的データが収集できる見通しが報告された。また出土先史人骨から推定される生活誌復元や古代DNA分析の予備的成果の報告が行われ、集団形成についての生物人類学(考古学)的課題についての意見交換をおこなっている。また研究成果の一般市民向けの公開の手法として市民講座との連携を図るパブリック考古学的手法の事業計画が報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記自己判断評価の理由は、次の通りである。①本研究に参画している研究者間の研究課題についての相互理解が研究会を通じて図られたこと。北海道島北部においてアイヌ民族文化形成に大きく関与したと推定されるオホーツク文化の文化的特性について海洋適応や動物飼育また当時の気候環境条件など新たな研究成果とその統合についての可能性が見えてきたこと。③アイヌ民族文化の形成過程を一地域における地域文化や地域集団の歴史的形成過程、また北方の辺境における周辺民族の形成過程として捉えるのではなく、世界的に進行した気候環境変動やそれに伴う集団の拡散や統合という世界的な規模での集団形成と比較研究できるメドが立ったこと。④将来的に人的交流を含めた国際共同研究の可能性が確実視されたこと。これらの要素から総合的に判断して、本研究は研究所年度としては、十分にその目的を達成できており、また研究の進行によって大きな成果をあげることが可能であると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、①礼文島浜中地区に広がる浜中遺跡群の考古学的、地質考古学的調査を実施し、長期的な気候環境変動のサイクルとその中における先史狩猟採集民文化の環境適応行動の時期的変遷過程の検討。②地中探査レーダーを活用した遺跡構造の復元、③生業活動領域と墓域の空間的広がりの把握、および墓域構成の復元から想定される社会構造の復元的研究.④これまでに出土した先史人骨にもとづく生活誌復元や古代DNA分析の実施。⑤既存の考古学情報を活用した地域文化資源としての活用方法を検討するパブリック考古学の実践研究の展開。⑥北海道島北部の環境気候変動の基礎的データの収集。以上の研究項目を実施展開していく計画である。 またアイヌ民族文化の形成過程を世界的な規模で生じた集団移動や民族形成の動きの一環として捉えるための比較考古学的研究の推進を図り、海外の研究者との将来的な比較考古学的共同研究を展開するための準備を進めて行く。そのために理論考古学的研究と蓄積と考察や分析の推進を図る。またプロジェクトを通じた若手研究者の育成を図るために、大学院生やポスドクなどに広く研究計画への参加を呼びかけ、研究の機会提供をはかっていく。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Degenerative changes of the spine in people from the Okhotsk culture and two ancient groups from Kanto and Okinawa, Japan.2012
Author(s)
Shimoda Y, Nagaoka T, Moromizato K, Sunagawa M, Hanihara T, Yoneda M, Hirata K, Ono H, Amano T, Fukumine T, Ishida H.
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Journal Title
Anthropological Science
Volume: 120
Pages: 1-21
DOI
Peer Reviewed
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