2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24242030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深瀬 均 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00582115)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 研究員 (10272527)
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20269640)
米延 仁志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20274277)
HUDSON Mark 西九州大学, リハビリテーション学部, 教授 (20284052)
木山 克彦 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (20507248)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
安達 登 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60282125)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
石田 肇 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70145225)
増田 隆一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192748)
岡田 真弓 北海道大学, アイヌ遺骨等返還室, 特任助教 (80635003)
長沼 正樹 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (80601418)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2016-03-31
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Keywords | アイヌ文化 / 国際フィールドスクール / 民族形成 / 生活誌復元 / 古代DNA分析 / パブリック考古学 / オホーツク文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は以下の研究項目にそって研究活動を実施した。 (1)礼文島における考古学調査:オホーツク文化前半期(刻文期)のクジラの送り場遺構を確認することができた。その下層に位置する続縄文文化期の文化層では、二枚の生活面を確認している。それぞれ石囲い炉を中心に石器製作址やクジラやイヌの遺存体の集中区が確認されている。またさらに下層に縄文文化後期の生活面を新たに確認することができた。これによって浜中2遺跡では縄文文化から近世アイヌ期にいたる長期的な人類の居住活動が4mを超える堆積層中に豊富な動物遺存体や墓をふくめて残されていることを確認することができた。 (2)出土した人骨資料の分析:出土した人骨資料については、2013年に出土したオホーツク文化期終末期の2号人骨について年代測定を行うとともに、病理学的見地からの検討を実施している。これによって単に出土人骨から先史時代の人類の形質的特徴や年代を知るのみではなく、生前の生活の復元に迫る生活誌の検討という領域の開拓を図った。 (3)出土人骨の古代DNAの解析:出土した人骨資料が良好な保存状態であることが判明したため、ゲノム解析をおこなうべく下処理を実施した。詳細な解析結果はまだ得られていないが、研究費の一定額を分析にまわし、分析結果の提示をおこなうべく取り組んでいる。 (4)研究成果のパブリック考古学の手法を生かした地元への還元:礼文町の資料館施設を地元教育委員会の協力を得て利用し、発掘速報展を実施した。また北海道アイヌ協会と協力して若手研究者の育成の一環として体験発掘事業を実施している。また市民向け、高校向けには国民との科学技術の対話事業に参加し、高校での出前講義を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
考古学調査および出土した資料の分析においては、当初想定した以上の成果をあげている。また地域社会と連携した研究成果の公開、地域社会を巻き込んだ文化資源の活用の手法開発や実践としては、「国民との科学技術の対話」事業におけるように大きな成果をあげている。 一方で成果の期待されるDNA解析については、費用的な問題もありやや作業に時間を要しており、研究計画的にやや遅れが見られる。アイヌ文化期の形成過程の解明という点においても物質文化や生業経済、社会組織の変化の過程とあわせて集団系統性も大きなテーマであり、この部分の遅れを考慮して評価区分としては、(2)と自己評価している。それ以外は計画通りに研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)礼文島での考古学調査について:縄文文化の生活面の状況を確認するほか、遺跡利用の時間的変遷、時代によってどのように場としての遺跡や環境の利用状況が変化してきたのか、また資源利用の時間的変化を明らかにする。(2)アイヌ文化形成過程と海洋適応の関係:オホーツク文化期に確認されたクジラ送りの儀礼行為、活発な海獣狩猟行動などが、北海道北部や沿岸地域のアイヌ文化の地域的特性としてどのような歴史的関係を有するのかについて民族誌データとの比較しながら検討をおこなう。(3)古代DNA解析を通じた集団系統の解明:2013年の調査で出土したオホーツク文化期の成人の墓は、オホーツク文化最終末、アイヌ文化期への移行期の12世紀のものであることが明らかとなった。現在進めている古代DNAの解析から集団系統性についての研究成果を提示する。(4)動物飼育文化におけるオホーツク文化とアイヌ文化との関係性:続縄文文化(イヌ)からオホーツク文化(イヌとブタ)にみられるの家畜飼育の文化伝統が、どのようにアイヌ文化に継承され、またどの部分が継承されなかったのか、ヒグマ送り、海獣送り、クジラ送りなどの動物儀礼もふくめて民族形成と文化伝統との歴史的相関性についての検討をおこなう。 平成27年度は研究計画の最終年度であり、上記の研究項目とこれまでの研究成果をとりまとめて、報告を行う計画である。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Dysbiosis of salivary microbiota in inflammatory bowel disease and its association with oral immunological biomarkers.2014
Author(s)
Said HS, Suda W, Nakagome S, Chinen H, Oshima K, Kim S, Kimura R, Iraha A, Ishida H, Fujita J, Mano S, Morita H, Dohi T, Oota H, Hattori M
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Journal Title
DNA Research
Volume: 21
Pages: 15-25
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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