2012 Fiscal Year Annual Research Report
「大収縮」と地域統合レジーム:試される政治経済システム
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24243041
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高阪 章 関西学院大学, 国際学部, 教授 (00205329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 茂行 同志社大学, 政策学部, 教授 (60140076)
小川 英治 一橋大学, 商学研究科, 教授 (80185503)
深川 由起子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30306485)
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90265918)
佐藤 清隆 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (30311319)
三重野 文晴 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (40272786)
大槻 恒裕 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40397633)
岡部 美砂 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (20434649)
永野 護 成蹊大学, 経済学部, 教授 (20508858)
塩谷 雅弘 大阪国際大学, ビジネス学部, 准教授 (70340867)
北條 雅一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30362601)
志甫 啓 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (90452721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域統合 / マクロ経済調整 / 金融システム発展 / 生産ネットワーク / 貿易政策 / 産業構造変化 / 人的資本 |
Research Abstract |
本研究では東アジアを主対象とし、グローバル金融危機の長期化・深刻化によって顕在化してきた、欧州とは異なる「地域統合レジーム」に基づく発展ダイナミズムを明らかにする。初年度の今年度は、研究分担者は各々の東アジア・EUに関する研究実績をベースに、国内研究会において、グローバル金融危機前後までの東アジアとEUの地域統合化パターンの相違に関するわれわれの新たな知見を共有し、共同研究の方向を確立するとともに、危機後の展開プロセスに関するEUとの比較の視座について検討を加えた。 まず、金融統合については、[課題1-1]マクロ経済調整の政策枠組みを政治経済システムとの関わりの中で再検討すること、および、[課題1-2]欧米最終需要から域内需要へのリバランスを図るために、現行の投資ファイナンス構造は中長期的にこれを支えるに足るものなのかどうかを検証することを確認した。次に、貿易統合については、上記ファイナンス構造に加えて、[課題2-1]危機後の為替動向と域内高成長分布の変化が生産ネットワークと各国産業発展に与える影響を明らかにすること、および、[課題2-2]TPPなど貿易統合の加速化は各国の産業政策とのトレードオフ関係を顕在化する可能性もあり、ここでも政治経済システムとの相互作用を検証することを確認した。 この結果を受けて、年度途中の海外出張では、研究協力者と打ち合わせ、年度末の国際ワークショップを企画、2月末にライプチヒ大学において同ワークショップを開催した。そこでは、欧州における通貨統合と金融危機のインタアクションからマクロ不均衡の調整困難を学ぶと同時に、東アジアの経済統合が同金融システムの構造変化を導く現状についても議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者(高阪)は、研究全体を統括するほか、東アジア経済に関する研究蓄積に基づいて比較軸となる欧州新興市場との対照性を調査した。金融統合については、上記の[課題1-1]については代表者に加えて、小川、塩谷が、[課題1-2]については、代表者に加えて三重野、永野が担当し、小川、三重野は2月のライプチヒ・ワークショップで報告者を務めた。また、永野は海外研究協力者の報告への討論を務めた。貿易統合については、上記の[課題2-1]については佐藤が、[課題2-2]については、深川、木村および岡部が担当しており、深川はライプチヒ・ワークショップで討論者も務めた。 研究代表者と連携研究者・研究協力者は、定期的に研究会を開催、また、国内出張によって、意見交換・ヒヤリングを行い、また、今年度は海外出張により、海外調査および学会報告を通じて、関係機関・研究者において資料収集・意見交換を行った。 上記の「研究実績の概要」はこれらの研究活動の成果であり、課題としてまとめた視角はいずれも、従来の議論では明確に意識されて来なかった、他の新興市場に比べて東アジア新興市場経済のみに見られる特徴をアイデンティファイしようとしたものであり、同地域のグローバル金融危機に際しての頑健性の基礎となる要因として注目される他、これらの構造変化は、地域統合に関して、欧州統合には見られない新たな地平を切り開くものとして大きな政策的インプリケーションにつながるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
スタートアップの初年度の成果を踏まえ、国内の定期的会合によって研究課題をよりフォーカスするとともに、関連機関への海外調査や関連問題研究者を招いてヒヤリングおよびワークショップを実施し、研究の深化を図る。また、年度途中に再び海外において国際ワークショップを企画し、開催する。その狙いは研究の中間段階で進行状況をチェックし、研究協力者の評価を経て、研究内容のステップアップのモメンタムを得ることにある。 各分担研究者は、研究成果を随時ワーキングペーパーにまとめ、それを基礎に関連機関を訪問し、関連分野研究者との間でフィードバックを行い、また、各種学会(East Asian Economic Association等)・会議・研究会などで報告を行う。[課題1-2][課題2-2]に重点をおく。さらに、最終年度の商業出版を目指し、年度末までに出版企画を確定し、商業出版契約を目指す。
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Research Products
(42 results)