2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 肇 東北大学, 電子光理学研究センター, 教授 (20178982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 学 東北大学, 電子光理学研究センター, 助教 (10613672)
石川 貴嗣 東北大学, 電子光理学研究センター, 助教 (40400220)
山崎 寛仁 東北大学, 電子光理学研究センター, 助教 (90260413)
村松 憲仁 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (40397766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カイラル相転移前駆現象 / BGOegg / LEPS2 |
Research Abstract |
本研究の目的は、QCDカイラル相転移前駆現象を新しい手法で捕らえると共に関連するクォーク核物理の問題解決に挑むことである。この研究では、世界最高エネルギーの逆コンプトン光子ビームLEPS2と1GeVにおけるエネルギー分解能が1.3%という世界最高分解能を誇る4π電磁カロリメータBGOeggを駆使して、クォーク核物理の未踏領域を開拓する。具体的には、原子核中でのη'(958)メソンの振る舞いを主な研究対象とする。そのためには4π電磁カロリメータが不可欠であり、平成24年度はその建設・搬入・設置に取り組んだ。 本研究では、東北大学電子光理学研究センターの基幹検出器である4π電磁カロリメータBGOeggを用いる。BGOeggは1320本のBGOクリスタルを卵形に配置した検出器で、総重量は約3tである。まず、東北大学電子光理学研究センターにおいて全クリスタルの組み立てを行った。この組立は、本研究が開始される以前から始まっており、1320本のクリスタルを装着するだけでも1年以上の歳月が流れている。12月までにクリスタル装着は完成した。そのままの状態でBGOeggをSPring-8まで輸送するために様々な方法を検討し、結果的には何の事故もなくBGOeggの輸送は無事完了した。BGOクリスタル検出器は温度変化に敏感なため、LEPS2実験室内に恒温ブースを建設し、BGOeggの温度を一定に保つよう算段した。 回路系は膨大なものとなったが、平成24年度は300チャンネルに限定して配線を行った。これに伴い、BGOeggの光電子増倍管装着も300チャンネルとし、ビームコミッショニングに間に合うように回路調整が行われた。その結果、BGOegg搬入・設置の約1ヶ月後のビームコミッショニング直後にBGOeggによるπ0メソンの検出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では、SPring-8/LEPS2ビームラインのコミッショニングを行うことと4π電磁カロリメータBGOeggの組立及びSPring-8への搬入・設置を行うことになっていた。これは100%達成できた。但し、ビームラインのコミッショニングは、SPring-8における日程調整を経て当初計画より半年遅れ、平成25年1月下旬に行われたが、無事にビームラインは開通した。また、総重量3tのBGOeggは1320本のBGOクリスタルから成るが、東北大学電子光理学研究センターにおいて全クリスタルの組み立てを完了し、その後無事にSPring-8に搬入・設置した。BGOeggの搬入に先立って、実験室全体のレイアウトの設計作業を行った。検出器の温度変化を極力少なくするために恒温ブースを実験室内に建設し、この中にBGOeggを設置した。 本研究グループの役割は、最初の実験のための検出器やデータ収集システムを構築することである。回路系やケーブル敷設には膨大な時間が必要であるが、平成24年度は300チャンネルに限定して作業を行った。BGOeggの光電子増倍管も300本のみ装着したが、これを用いて平成25年2月にはBGOeggによるπ0メソンの検出に成功した。一般に、電磁カロリメータによってπ0メソンを検出するまでには、検出器のエネルギー校正や位置情報の構成など多くの人手と時間が必要である。検出器を設置して1ヶ月程度でπ0が検出されたことは当初の予想以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度内にBGOeggの全ての光電子増倍管をとりつけ、2640 (1320x2) 本のケーブル配線を行い、回路系の構築、及びデータ収集系を完成させ、BGOegg検出器の調整を行う。この作業には多くの人員と時間が必要だが、共同研究の利点を活用し、年度内にBGOeggが検出器として働くように全力を挙げる。平成25年度はこの1点に絞り作業を進める。 なお、共同研究の他のグループが、BGOegg用荷電粒子検出器を開発しており、平成25年度内にこれをBGOegg内部に装着する予定である。
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Research Products
(7 results)