2012 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性発現機構解明を目的としたマイトトキシンの合成研究
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24245009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 徹 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90241520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥飼 浩平 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20456990)
海老根 真琴 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70545574)
此木 敬一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40292825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイトトキシン / 梯子状ポリエーテル / 化学合成 / 分子プローブ / 作用標的タンパク質 |
Research Abstract |
マイトトキシン(MTX)は、強力な生物活性を有する巨大な分子であるが、天然から微量しか得られず、活性発現機構や作用標的分子は未解明のままである。本申請者は、これまでの研究結果から、MTXが生物活性を発現する際、全構造が必須なのではなく、重要な部分構造が存在するという仮説を提唱するに至った。MTXの部分構造を基に、より簡略化された人工分子を適切に設計・合成することによって、生物活性を発現する最少単位を明らかにすることを目指した。平成24年度は,QRS環部およびC'D'E'F'環部の合成を行った。S環部に相当するWeinrebアミドとフリルリチウムとのカップリング反応を行い、得られたケトンに対して野依不斉水素移動反応によりフルフリルアルコールを立体選択的に得た。Achmatowicz反応、続くメチルアセタール化によってエノンへと変換した後、ルイス酸存在下、ジメチル亜鉛を作用させると、ケトン存在下にメチルアセタールのみが反応し、立体選択的にメチル基を導入できることを見出した。さらにメチルアセタールに変換したのち、メチル化を行うことでR環を構築した。オレフィンに対し四酸化オスミウム酸化を行うと立体選択的にジヒドロキシ化が進行し、三環性化合物を単一の生成物として得ることに成功した。さらに環拡大反応による七員環エーテルを構築し,QRS環部の合成に成功した。次に、C’D’E’環部に相当する末端オレフィンと側鎖部分であるヨードオレフィンから鈴木―宮浦反応によりカップリング成績体を合成した。さらにTBS基の除去を行ってジオールに変換した後、上西らの報告に従いPd(II)を用いた触媒的環化反応によりF’環部を立体選択的に構築することに成功した。続いてオレフィンに対しSharpless不斉ジヒドロキシ化を行うことでジオールを得た。末端オレフィン導入を行いC'D'E'F'環部の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QRS環部の合成において、当初の合成ルートではR環部を構築する前に環拡大反応を行うことにしていたが、反応が進行せずこのルートを断念する結果となった。しかしながら、最初にR環部を構築することで、QRS環部を合成することに成功した。また、C'D'E'F'環部の合成において、当初エポキシドの開環反応を経由するF'環部の構築を検討していたが、脱保護がうまく進行せず、最終生成物を得るには至らなかった。しかし、その過程で、副生成物の構造から、上西らによって報告されているPd(II)を用いた触媒的環化反応を利用することを思いつき、C'D'E'F'環部を合成することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
QRS環部から環を伸長し、QRSTU環部を合成する。また、LMNO環部を別途合成し、QRSTU環部と連結する。QRS環部およびC'D'E'F'環部について生物活性試験を行う。
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Research Products
(12 results)