2014 Fiscal Year Annual Research Report
特異な対称構造を持つクモヒトデから探る振る舞いの多様性の発現機序
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24246074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石黒 章夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青沼 仁志 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (20333643)
松坂 義哉 東北大学, 医学系研究科, 講師 (30312557)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自律分散制御 / クモヒトデ / 腕間協調 / 腕内協調 / 振る舞いの多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に得た結果を以下に具体的に示す: (1) クモヒトデの腕を切断し,残存本数に応じてどのようなロコモーションが発現するかについてのキネマティクスデータを収集した.その結果,残存本数に呼応して推進に適したロコモーション様式が即座に自己組織化されることを確認した. (2) これまでに提案した腕間協調モデルの再検討を行った.その結果,環境からの手応えを推進に利するものかそうでないものかを即座に峻別し,推進に利する手応えを積極的に活用することが可能な自律分散制御則に関する新しい数理モデルを構築することができた. (3) 上記(2)の自律分散制御則の妥当性をシミュレーションを通して確認した.その結果,上記(1)で得られた生物行動実験結果と高い整合性が得られた. (4) 上記(2)で提案した腕間協調モデルの数理モデルの妥当性を検証するために,クモヒトデロボット実機を新たに設計・製作した.その結果,シミュレーションと同様の結果を得ることができた. 以上を踏まえると,今年度に提案した腕間協調モデルはクモヒトデの腕間協調メカニズムを的確につかんだモデルとなっていると期待される.本成果は,既存のロボットでは実現不可能であった高いレジリアンスを実現できる基盤技術となることもあわせて期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クモヒトデは捕食者に襲われた際に,腕を自切して逃避することが知られている.その際,腕の残存本数に応じて新しい振る舞いを即座に自己組織化する.このメカニズムは未知であったが,本年度に提案した自律分散制御則はこの振る舞いをかなりのよく再現可能であることが実験的にも明らかにできた.これは,これまでにないレジリアントなロボットを創成するための基盤技術ともなるものである.これらの成果のインパクトと意義は,2014年度の計測自動制御学会学術奨励賞をはじめ3件の学会受賞が授与されていることからも明らかであろう. 以上を踏まえ,当初の計画以上に進展していると断言できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は主として腕間協調メカニズムの数理モデリングとその妥当性の検証を行った.次年度では,これまでに提案した腕内協調メカニズムを再考し,腕間協調メカニズムと腕内協調メカニズムをいよいよカップリングさせることを行う.これにより,クモヒトデが発現するレジリアントかつ多様な振る舞いの自己組織化メカニズムの解明を目指す.そして,腕内にも複数のアクチュエータを実装することで,しなやかな動きを実現するクモヒトデロボットの開発も行う予定である.さらに,マイクロCT画像を元に周口神経環の位置を同定し,周口神経環の切断実験にも再度チャレンジする予定である.これらの結果は,インパクトの高いジャーナルに投稿する.
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Research Products
(5 results)