2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24247046
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50125712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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Keywords | 全身的な協関 / 酸素摂取動態 / 循環調節 / 体温調節機能 / 非定常状態 / 筋線維動員パターン / 時間分解近赤外分光装置 / 空間不均一性 |
Research Abstract |
ヒトの筋線維の動員パターンが酸素摂取動態に及ぼす影響、とくに酸素供給と需要のマッチングとその部位差について検討した。さらに、高温環境下において、長時間にわたって活動するために必要な酸素摂取動態と循環調節、および体温調節機能の全身的な協関を明らかにした。 (1)非定常状態における酸素摂取動態の全身的な協関 A. 酸素供給と需要のマッチング:前年度と同様に、成人10名に非定常な運動負荷(急激な増加、漸増、正弦波状の負荷)を課して、酸素摂取動態の規定要因に関連する生理機能の測定を継続した。①ヒトの運動時における活動筋・脱筋酸素化動態(HHb)の応答特性から筋線維動員パターンを推定した。②多チャンネルの時間分解・近赤外分光装置を用いて活動筋HHbの空間不均一性(筋の部位ごとの空間分布)がVO2の増加を規定するかどうかを明らかにした。B. 酸素供給と血圧調節のマッチング:運動時の非定常的な場面における酸素摂取動態、酸素供給(血流)調節と血圧調節のマッチングを明らかにした。成人10名を被験者として、①交感神経、種々の部位での血管反応、血圧、心拍数などを連続的に同時測定した。②血流量と血圧のデータから局所の血管コンダクタンスを求めて、上記の循環動態との間で多変量自己回帰分析を自動で行えるシステムを構築し、それらの相互調節と酸素摂取の全身的協関を検討した。 (2)非定常状態の運動継続時における全身的な協関 ヒトの長時間運動に必要な体温調節、活動筋と皮膚の血流調節、および筋肉の酸素利用の協関的調節を明らかにした。成人10名に被験者を依頼して、常温と高温下で長時間運動を行い、活動筋と皮膚、および非活動組織の血流量、全身の血圧調節の生理機能を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの筋線維の動員パターンが酸素摂取動態に及ぼす影響、とくに酸素供給と需要のマッチングとその部位差が明らかになった。さらに、高温環境下において、長時間にわたって活動するために必要な酸素摂取動態と循環調節、および体温調節機能の全身的な協関を認めた。 (1)非定常状態における酸素摂取動態の全身的な協関 A. 酸素供給と需要のマッチング:非定常な運動負荷に対する酸素摂取動態の規定要因は主として酸素供給であることが判明した。①ヒトの運動時における活動筋HHbの応答特性から筋線維動員パターンを推定できたが、HHbの空間不均一性はVO2の増加を規定しないことが認められた。B. 酸素供給と血圧調節のマッチング:運動時の非定常的な場面において、酸素摂取動態、酸素供給(血流)調節と血圧調節のマッチングが明らかになった。循環動態の相互調節と酸素摂取の全身的協関を検討できた。 (2)非定常状態の運動継続時における全身的な協関 ヒトの長時間運動に必要な体温調節、活動筋と皮膚の血流調節、および筋肉の酸素利用の協関的調節を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
運動負荷と共に代表的な非定常温熱負荷を実験室で模擬的に再現して、生理機能の全身的協関の仕組みを明らかにする。従来の一定(ステップ)負荷運動、および定常な温湿度条件では困難であった、生理機能の全身的協関の詳細な検討を行なう。 (1)非定常状態における酸素摂取動態の全身的な協関 ①温度の急激な変化や正弦波状の温熱負荷を人工気候室、あるいは温冷水還流服で再現して、酸素供給と需要のマッチング、酸素供給と血圧調節のマッチングを検討する。②ヒトが進化の中で曝されてきた温熱環境と運動後低血圧(PEH)の関わりを検討するために、暑熱と寒冷の環境下で運動後のPEHを比較する。皮膚血流、発汗量、体液(血漿量)の変化、運動肢・非運動肢・内臓・脳などへの血流量を超音波ドップラー法により測定して、詳細なPEH現象の「成り立ち」を明らかにし、PEHの有する本質的な意義を考察する。③非定常状態の温度、および姿勢変化時における交感神経と血管反応の連関を検討する。温度変化に加えて、動脈圧受容器を刺激するために、仰臥位から立位への姿勢変化も合わせて行う。さらに、動脈圧受容器反射時、および運動を同時に行い、筋交感神経活動、呼吸循環反応、筋酸素化動態等を測定し、それらの相互関係を検討する。 (2)環境変化の非定常状態継続時における全身的な協関 ①温度の急激な変化や正弦波状の温熱負荷を実験室で再現して、非定常状態で長時間にわたって活動するために必要な体温調節、活動筋と皮膚の血流、および筋肉の酸素利用の協関的調節を明らかにする。成人10名に被験者を依頼して、長時間の温度変化を負荷して、活動筋と皮膚、および非活動組織の血流量、全身の血圧調節の生理機能を測定する。 ②全身的協関の乱れが生じる状況[刺激強度(閾値)と発生する確率]とその原因を検討する。
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