2015 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタルを用いない革新的カップリング法に基づく新規機能性物質の合成研究
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24249001
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北 泰行 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (00028862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 寿文 立命館大学, 薬学部, 准教授 (50423116)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題実施の完成期にあたる本年度の研究では、創薬研究や物質化学の発展への貢献を視野に、前年度までの合成研究をさらに推し進め、適宜、天然物や機能性化合物、その類縁体の合成などへの応用展開を目指した検討を行った。 具体的には、希少金属に近い反応性を示す高原子価のヨウ素や硫黄などの性質を利用した新反応や反応剤の基盤技術を、目標として設定した生物活性物質の効率的な構築へと最適化させた。特に、ビアリール類はファーマコアとして製薬業界や関連分野において近年注目度が高く、その重合体やハイブリッド型連結体は材料科学分野で実用化されているので、我々の新規カップリング法で効果的に得られる高度に官能基化された芳香環連結体のライブラリーを活かした医薬品関連物質や機能性材料への応用を見据えた積極的な研究展開として、外部機関との共同研究等、新たな研究の創造につながる連携体制を構築した。 また並行して、リサイクル型反応剤や独自の触媒的利用技術を深化させ、環境にやさしく持続可能な分子変換法として、我々の基盤技術の質的改良も行った。
本研究の遂行過程で発展的に見出したフェノール類の酸化的カップリングは、有機触媒を用いる効果的な酸化カップリングとしては初めての例であり、生物学的にも重要であると共に、得られる生成物は医薬品や機能性分子などの部分骨格に見られるため、興味深い研究課題として本研究計画への追加を判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に掲げた研究目標を概ね達成できており、研究成果の公表についても順調である。また、当初は予期しなかった発展的で新しい知見についても、重要なものがいくつか得られている。
本課題に関わる経費の支出についても、予定どおり、無駄なく活用できている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの基盤研究をさらに推し進め、持続可能なレアメタルを用いない革新的カップリング法を主に応用して、目標とする有用な化合物の合成を達成し、創薬研究や物質化学の発展に貢献する。 本研究の取りまとめとして、我々の革新的カップリング手法に対し、慣用的な遷移金属触媒を用いた方法との比較を行い、相対的な評価を図る。同時に、関係のある物理化学や計算化学の研究者との連携により、本課題で得られた実験化学的結果と理論化学との整合化を試みる。
本課題終了後の展開を見据えた新しく発展的なテーマの開拓も重要であるため、研究の過程で新しく重要と思われるテーマが生じた場合、その都度研究計画への追加の是非を判断する。
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Research Products
(39 results)