2013 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス感受性TRPチャネルが統御する炎症性細胞応答機構の解明
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24249017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 泰生 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80212265)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ストレス / シグナル伝達 / 生理学 / 癌 / 炎症 / イオンチャネル / レドックス / 活性酸素種 |
Research Abstract |
TRPM2とTRPM7の活性を制御する活性酸素種の産生と関連が深い、エネルギー変化を生体・細胞内で評価する手法の開発を行った。即ち、温度依存的に会合解離するcoiled-coil構造に着目し、サルモネラ由来のTrpAタンパク質のcoiled-coil構造にGFPをつなげた温度センサータンパク質tsGFPを作製した。tsGFPはcoiled-coilの会合解離による発色団芳香環の水酸基のプロトン解離平衡の変化が引き起こすsigmoidalな蛍光変化を37度C付近で示した。様々な細胞内局所への標的配列を付加したtsGFPを作製し、褐色脂肪細胞等における熱産生を可視化したところ、電気化学的勾配とATP産生の程度に相関してエネルギー産生が増加することが分かった。また、同一細胞内でのミトコンドリアのエネルギー産生における不均質性も明らかになった。本手法は、tsGFP遺伝子移入動物などの作製により、ミトコンドリア内で起こる活性酸素種の産生とエネルギー代謝の関係を明らかにする強力なツールとして期待できる(Kiyonaka et al., Nature Methods, 2013)。この成果に加え、TRPホモログ選択的にNOによるニトロシル化を引き起こし、チャネル活性化開口に導くNitrosamine化合物の開発にも成功した。本化合物は分子認識によりTRPA1チャネルタンパク質のN末端に結合し、transnitrosylationを介してNOをシステイン残基のsulfhydryl基に導入し、タンパク質の構造変化を引き起こすと考えられる。今後は、タンパク質の分子認識部分を置き換えることにより、他のTRPホモログの選択的モデュレーターの合成が可能になると考えられる(Kozai et al., Molecular Pharmacology, 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPM2に関する研究においては、虚血再環流モデルをTRPM2ノックアウトマウスに適用し、好中球の梗塞巣への遊走が障害の進展には重要であり、そこにおいては心組織からのロイコトリエンB4への遊走過程の中の好中球の血管壁への接着に、TRPM2の大きな関与があることを見つけて既に報告している。また、マクロファージの分化において、急性炎症に関与するM1と癌関連のTAMに関連するM2の間の出現バランスの決定に、TRPM2とSTAT3の間の相互作用の有無が重要であることを既に見出しており、次の大きなステップへの兆しがみられる。一方、TRPM7に関する研究においては、条件的ノックアウトマウスが完成しており、Tamxifen誘導性のCreマウスとのかけ合わせにより、少なくとも培養系を用いた上記M1/M2バランスへのTRPM7の寄与を明らかにする実験が可能になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
目的の達成に向けて、後半2年間を有効な成果が得られるものを優先させ、研究を進行させる。例えば、マクロファージ選択的発現Creマウスの導入を図り、TRPM7のマクロファージM1/M2バランスへのTRPM7の寄与をin vivoで明らかにする。また、好中球の遊走時の血管壁への接着過程におけるFAKキナーゼファミリーの役割なども、今までの知見等を総合すれば大きな成果を望めるものの一つであるので、少なくとも一定の期間は集中的に実験を遂行するつもりである。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Genetically encoded fluorescent thermo-sensors for visualizing subcellular thermoregulation in living cells.2013
Author(s)
Kiyonaka S, Kajimoto T, Sakaguchi R, Shinmi D, Omatsu-Kanbe M, Matsuura H, Imamura H, Yoshizaki T, Hamachi I, Morii T, Mori Y
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Journal Title
Nature Methods
Volume: 10
Pages: 1232-1238
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Genetically encoded fluorescent thermosensors visualize subcellular thermoregulation in living cells2014
Author(s)
Kiyonaka S, Kajimoto T, ○Sakaguchi R, Shinmi D, Omatsu-Kanbe M, Matsuura H, Imamura H, Yoshizaki T, Hamachi I, Morii T, Mori Y
Organizer
58th Annual Meeting of the Biophysical Society
Place of Presentation
California, USA
Year and Date
20140216-20140216