2014 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス感受性TRPチャネルが統御する炎症性細胞応答機構の解明
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24249017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 泰生 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80212265)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生理学 / イオンチャネル / 炎症 / シグナル伝達 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPM2に関しては順調に成果が得られている。例えば、敗血症(Sepsis)は、病原体によって引き起こされた非常に重篤な全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatory response syndrome)であり、ショック、DIC、多臓器不全などから早晩死に至ることから、的確な治療指針の確立が必須であるが、今回、TRPM2 KOマウスを用いることにより、TRPM2が敗血症の発症に果たす役割を解明した。即ち、TRPM2は比較的早期にはproinflammatory cytokines/chemokinesや好中球遊走を強く誘導することにより症状を悪化させるが、その裏返しとしてより後期では感染防御の側面からから感染の進行を抑えることにより、敗血症のさらなる重篤化を抑えていることが明らかになった((Qian X, Numata T, et al. Anesthesiology 121, 336-351 (2014))。一方、redox感受性TRPチャネルの一つであるTRPV4に関しても想定外の興味深い成果が得られた。TRPV4のN末端のankyrin repeats構造はPIP2に結合することによりチャネル活性が抑制されており、IP3などがそれを競合的に除くことでチャネルを活性化けることが明らかとなった。これは、新たなankyrin repeats構造の作用様式だけでなく、TRPチャネルの新たな活性制御機構を明らかにした成果である(Takahashi N, et al. Nature Commun. 5, 4994 (2014))。ankyrin repeats構造にはCys残基が多く存在することから、今後は、PIP2感受性とredox感受性との相互作用を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPM2の炎症病態を亢進する役割がコンスタントに確立されようとしている。マクロファージの分化においては、急性炎症に関与するM1と癌関連のTAMに関連するM2の間の出現バランスの決定に、TRPM2とSTAT3の間の相互作用の有無が重要であるかを検討するのデータが得られつつある。一方、TRPM7に関する研究においては、条件的ノックアウトマウスが完成し、Tamxifen誘導性のCreマウスとのかけ合わせにより、培養系及び全身性における誘導性TRPM7 KOを用いた上記M1/M2バランスへのTRPM7の寄与を明らかにする実験が可能になり、TRPM7でもTAMによる血管新生への寄与の解析を行う。さらに、血管成熟に寄与するPericyteの管腔形成安定化効果をWTとKO由来のTAMで比べ、TRPM2のTAMの血管新生における役割をも順調に検討が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の最終年度にあたることから、より一層研究を加速させるつもりである。特に、マクロファージの分化においては、急性炎症に関与するM1と癌関連のTAMに関連するM2の間の出現バランスの決定に、TRPM2とSTAT3の間の相互作用がマクロファージのM1性に重要であることが分かってきており、それを裏付ける機構の解明を急ぐ必要がある。
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[Journal Article] TRPM2 mediates the lysophosphatidic acid-induced neurite retraction in the developing brain.2014
Author(s)
Jang Y, Lee MH, Lee J, Jung J, Lee SH, Yang DJ, Kim BW, Son H, Lee B, Chang S, Mori Y & Oh U
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Journal Title
Pflugers Arch.
Volume: 466
Pages: 1987-1998
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] TRPV4 channel activity is modulated by direct interaction of the ankyrin domain to PI(4,5)P2.2014
Author(s)
Takahashi N, Hamada-Nakahara S, Itoh Y, Takemura K, Shimada A, Ueda Y, Kitamata M, Matsuoka R, Hanawa-Suetsugu K, Senju Y, Mori MX, Kiyonaka S, Kohda D, Kitao A, Mori Y & Suetsugu S.
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Journal Title
Nature Commun.
Volume: 5
Pages: 4994
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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