2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化のなかのインド「州」政治:開発・環境・暴力をめぐる全28州の比較分析
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24251003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 修 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (60231693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (00365694)
上田 知亮 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外来研究員 (20402943)
石坂 晋哉 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 客員准教授 (20525068)
油井 美春 広島大学, 現代インド研究センター, 特任助教 (50634440)
長崎 暢子 龍谷大学, 人間科学・宗教・総合研究センター, 研究フェロー (70012979)
志賀 美和子 専修大学, 文学部, 准教授 (80401157)
木村 真希子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90468835)
舟橋 健太 龍谷大学, 現代インド研究センター, 研究員 (90510488)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90596793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 現代インド / 民主主義 / グローバル化 / 州政治 / 政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、4月から5月にかけてインドで総選挙及び5州議会選挙(新たに発足するテランガーナ州を含む)が、また秋には4州議会選挙が相次いで実施された。2015年2月にはデリー議会選挙も行われた。今年度の研究計画では、選挙を通じて連邦政治と州政治との関連の事例分析を進めるとともに、選挙データを用いた総選挙の総合的分析も行うこととしていたが、総選挙結果がインド人民党の予想以上の圧勝に終わった一方、党派別の盛衰に関する州議会や総選挙の州別の結果には、州ごとの特徴を持った多様性が示されたため、インド人民党の連邦レベルでの圧勝を、首相候補者モディを軸とした、グローバル化を背景とする「開発」への支持と見たうえで、州レベルで現れた多様性とそれらの比較に、本年度の研究は重点を置いた。 本年度に行った研究会では、オリッサ(オディシャ)やカルナータカ、ジャンムー・カシミールなどにおける選挙と州政治の関連に関する報告がなされ、議論が交わされた。また、選挙結果を踏まえた州政治の多様な発展を基礎に、本科研の研究分担者および研究協力者でアジア政経学会西日本大会の分科会パネル「州政治と連邦政治:インド新政権の統治能力を考える」を組織した(司会は研究代表者)。本パネルは、連邦レベルでのモディ政権成立にインドでの「強力政権」の樹立を見る一般的な見解に対し、インド政治の軸足が州政治に移りつつある点にインド民主主義の発展の特徴を見出し、選挙民が選挙と自らの生活とを結び付けて考えるようになっていることにこそ注目すべきであることを示したもので、会場を埋めた参加者に、州政治の比較研究ができるという点でのインド民主主義研究の可能性を広く印象付けるものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、総選挙を契機に、州政治の発展と連邦政治との関係を考察し、一定の成果を得るとともに、インド州政治研究の重要性という点で、学界に対するインパクトを与えることもできた。総選挙の総合的分析は十分に行ったとは言えないが、これは総選挙の投票結果の数量的な分析よりも、連邦政治と州政治との関係の仕方やその州ごとの違い・特性を明らかにすることに重点を置いたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グローバル化を背景に、昨年の総選挙でその有効性が示された、連邦レベルを貫く「開発」という争点領域に対して、本科研が掲げる他の二つの争点領域、「環境」や「暴力」が、どの程度インドの連邦政治と州政治との関係を規定し続けるのか、あるいはその影響力は失われていくのかという問題を考察する。また、前年度から取り組んでいる「州政治の類型化」を継続し、比較研究の枠組を精緻化する。こうした作業を進めつつ、アジア政経学会誌での特集号執筆など、研究成果の取りまとめに向かう。
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Research Products
(110 results)