2012 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
24256004
|
|---|
| Section | 海外学術 |
|---|
| Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
|---|
Principal Investigator |
グルゲ キールティ・シリ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・病態研究領域, 主任研究員 (50391446)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 信義 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (40358255)
秋庭 正人 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・細菌・寄生虫研究領域, 主任研究員 (60355211)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 衛生 / 細菌 / 有害化学物質 / 抗生物質 / 環境分析 / 環境毒性 |
|---|
| Research Abstract |
今年度は現地連携研究者との研究打ち合わせ、サンプルの採集と予備的分析を行った。具体的には、インド北部Patna大学と連携し、ガンジス川流域のサンプル約３０検体を採集した。インド南西部Manipal大学と連携しGoa、 Manipal、MangaloreとHyderabad からサンプル約６０検体を採集した。採集した試料の一部は現地で抽出、残りは日本へ輸送した。
医薬品汚染調査では、HLBカートリッジを用いて水サンプルからの固相抽出を行った。抽出物を日本に持ち込み、HPLC/MS/MSにより、スルファメトキサゾール（SMX）、トリメトプリム（TMP）、クロラムフェニコール（CHL）、エリスロマイシン（ERY）、エリスロマイシン-H2O（ERY-H2O）の定量を行った。Manipalで収集したサンプル中の医薬品濃度が、CHLを除き、最も高い値を示した。
薬剤耐性菌汚染調査では、水サンプルからキット（NucleoSpin Soil）を用いてDNAを抽出し、それらをテンプレートとしてNDM-1を含むβラクタマーゼ遺伝子のPCR検出を行った。一部の水サンプルからNDM-1、CMY-2、FOX、TEM、SHV、CTX-M-1のいずれか1つ、または複数のβラクタマーゼ遺伝子がPCR検出できた。
残留化学物質の毒性評価では、乾固した水サンプルの沈渣をジクロロメタン（DCM）を用いて抽出した。抽出物は濃縮後、C18カートリッジを用い分画した。画分を乾固し、DMSOに再溶解して豚初代培養肝細胞に添加し、24時間後にRNAを抽出した。薬物代謝酵素シトクロムP450ファミリーのCYP1A1遺伝子の発現をRT-PCRで検出した。抽出物を豚初代培養肝細胞に添加したところ、CYP1A1遺伝子が誘導されることから、サンプル中にアリル炭化水素受容体アゴニスト活性が存在することを示唆する成績と考えられた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現地連携研究者との研究打ち合わせと現地のサンプリングサイトの確認とともに多くのサンプルを採集することができた。実施した予備的検討の結果、インドで収集した水サンプルの一部から抗菌剤とβラクタマーゼ遺伝子が検出できることが示された。また開発した分析法の検出感度は1ng/L以下、現時点の測定対象化合物数は主要抗菌剤を含む24種類であり、包括的な環境動態解析が可能となった。さらに、水サンプルの沈渣にはダイオキシン様アリル炭化水素受容体アゴニストが含まれることが示唆された。これらの成果の一部は国際学会で公表予定(3件は発表済)であり、おおむね当初の予定どおりの成果が得られている。
予想外の進捗としては、底質試料の層別採取が可能なピストンコアサンプラーを用いる事で、化学物質と薬剤耐性菌遺伝子の分布状況を現在から数十年前まで遡る試みを計画しており、既に機材輸送など準備を進めている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
25年度の環境試料収集はインド南東のChennaiを取り入れmonsoon期中心に行う。現地より派遣される博士課程研究員などを日本へ受け入れ、研究遂行に必要な技術指導を行うとともに、現地で試料前処理を行うための技術指導を行い、インド国内における体制を整備する。水サンプル中に残留するβラクタム系を含む12抗菌剤とその他の化学物質の包括的分析データを蓄積し、季節変動も含めた解析を行う。水試料に含まれる総菌数、大腸菌数、大腸菌群数を直ちに測定するとともに、大腸菌と大腸菌群を分離、保存し、その薬剤感受性をディスク法で調べる。また、レポーター遺伝子アッセイを用いて試料中に含まれる医薬品を含む有害化学物質の包括的毒性評価行う。特に底質試料の層別採取が可能なピストンコアサンプラーを用いて化学物質と薬剤耐性菌遺伝子の分布状況を現在から数十年前まで遡る試みにより新規性の高い研究成果が期待できる。
|
Research Products
(3 results)
