2012 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経回路と人工神経回路の身体化によるホメオダイナミクスの研究
Project/Area Number |
24300080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池上 高志 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (10211715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (90361518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CMOS電極アレイ / 培養神経回路 / 移送エントロピー / izhikevich神経細胞 / シミュレーション |
Research Abstract |
本プロジェクトの提案は、自律的な行為決定と自律的な神経活性パターンの維持を、現実に培養した神経細胞のネットワークを使うことで、なにが実際の神経回路で恒常的となるのか、その動力学であるホメオダイナミクスを明らかにすることにあった。具体的に行われたのは以下のとおりである。 1)ほぼ1ヶ月に1回、池上研究室と高橋研究室で合同のセミナーを持ち、何が計測できるか、可能な解析は何か、またそれぞれ生理実験・モデル実験では何がわかっているか、を密に議論してきた。 2)4つのCMOS基盤上で神経細胞を育て、その変化を記録し、移送エントロピーを用いて解析した。その結果、次のことが明らかになった。 2-1)神経細胞が疎なものと密なものとの違いは、移送エントロピーの極大値が、ある時間スケールのところに立ち現れるかどうかで区別できそうだ。 2-2)小さい時間スケールに移送エントロピーのピークが現れる場合、16日あたりを境界としている。この前後で、バーストのピーク幅の分布関数がベキになることが判明した。 3)izhikevich神経細胞モデルを用いて、ある時間できっちりとすべての神経活動を停止するシミュレーションを行った。これは、神経細胞がある活動パターンを生成するのではなく、あるパターンを「忘れてしまう」プロセスを考えているからだ。その結果、ある非周期的な同期バーストを経て、きちんと停止するネットワークを遺伝的アルゴリズムを用いて進化することができた。 2)の結果は、国際会議IEEE Engineering in Medicine and Biology Societyに投稿・受理だれている。また3)の結果は、国際会議に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論および解析チームの池上研と、培養細胞グループの高橋研との連携がうまくいっているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度えたエントロピーの測定と、ネットワークのモデルを対照し、自律運動するロボットと培養神経細胞との間の閉じたサイクルをつくる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養細胞がうまく育たないなどの問題があったが、現在はあらたなサンプルのデータが手に入るようになったので、それをもとに解析をすすめたい。
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Research Products
(11 results)