2014 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者を対象としたメンタルコミットロボット・パロを活用したケア効果
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24300202
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 薫 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (90259143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 正信 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (10204950)
和田 一義 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (20453037)
柴田 崇徳 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 上級主任研究員 (30357199)
伊藤 祐子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60289973)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロボット / 認知症 / 高齢者 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、データの収集と分析に取り組んだ。 施設における調査では、特別養護老人ホーム1カ所、精神病院1カ所にて計8名の協力者の方に実験を行った。詳細な分析はこれからであるが、いずれの施設ともに良好な結果が得られた。特に精神病院においては、入院患者の不安や徘徊など認知症の周辺症状が低減する事例が見られた。 在宅における調査では、在宅の認知症等をもつ高齢者およびその家族に、パロを活用していただいた。本年度、新たな協力者1名が獲得できたが、1名に止まり、昨年度より継続中のご家族に引き続きご協力をいただき、現時点で7家族のデータを得、質的視点から分析している。成果としては、導入時に個別性に応じた支援が必要であること、高齢者本人に対してパロとのふれあいが有効であること、家族の生活の流れの中で自然に定着させていくこと、迅速かつ適切なフォローアップが必要であること等が明らかとなった。新規協力者を得るための家族説明会を関東近郊において7回開催した。しかし、高齢者に適応があっても、同居家族が対応困難、あるいは家族が興味を抱いても、当の高齢者が適用外であったケースも見受けられ、研究の目的からも倫理的視点からも、本研究の条件を満たす協力者を選定することが難しかった。現在、3家族が協力検討中であり、患者会等、新たに10団体へご協力を打診している。 本年度は、施設における調査ではデータ収集を継続、統計的な分析を行い、成果を発表する。在宅調査では、引き続き協力者を募集し、データ数の蓄積に取り組む。結果については質的視点からの分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
施設における調査は予定通り順調に進行しているが、在宅における調査において、データの取得にやや遅れが生じている。理由は、研究対象者の条件を満たさない場合が多かったためである。そのため、「(3)やや遅れている」を選択した。 本年度は在宅調査に現状以上に力点を置いてデータ収集に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に大きな変更はないが、在宅調査のデータ取得数が不足している。 昨年度も認知症をもつ高齢者と同居しているご家族向けの研究協力説明会を複数回開催したが、なかなか先方のニーズと当方の条件が合致せずに選定に難航した。また、説明会も20名以上の大人数を対象としたことが多かったため、参加者個々人にパロを十分に理解してもらえなかった点も否定できない。協力候補者にお時間をとっていただく場合、定期的な会合の合間や仕事終了後にお時間をいただくことが多く、先方のご予定で、当方の持ち時間に制限が生じることが多かったことも一因である。 本年度は、これらの反省を踏まえ、候補団体には研究に関する十分な理解を求め、説明会をより小規模(10名以内)に複数回、触れ合いに時間をとれるようなタイミングで開催すること、興味を持ったご家族にパロを一定期間試用していただくなど、扱い方や遊び方などの導入時に手厚く導入を行い、協力者の獲得に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、井上に一部、木下に全額の残金が生じた。井上は、15,836円と物品費が想定より安価に購入できたための残金である。木下は昨年度研究費の執行がなかったが、これは当初の予定と異なり、本拠地である学内(特別な移動を伴わない)で、結果へのコメントや、医師としてのアドバイスに役割が終始したため、来年度の執行へ変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、最終年度であるため、井上は「その他」の費用の一部(報告書の印刷費用)として使用したいと考えている。木下は、昨年度に予定されていた、成果の発表および成果をまとめるために必要なOA消耗品等の購入に充当したいと考えている。
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Research Products
(8 results)