Research Abstract |
本研究の目的は,行動変容に関わる地域の特徴を考慮した上で,人々の健康意識や健康行動の実践頻度を高めることを目的に,1)ヘルス・コミュニケーションを支える複数の理論・モデルにおいて重複していたり,特に重要視される構成概念を整理し直し,「基本要素」による評価尺度を開発すること,そして2)この評価尺度を用いて背景が異なる地域や下位集団を査定し,「基本要素」を基にしたメディア情報を提供し,その効果を検証することである. 平成24年度においては,上記目的にそって,まず「基本要素」評価尺度の開発を行った.その内容は,従来,健康行動に関わる介入研究に用いられてきた理論・モデルにおける構成概念の内容を確認し,類似する内容や独自の内容を整理し,研究協力者と確認し合いながら,行動変容の「基本要素」を決定した.「基本要素」評価尺度の質問項目の収集として,食事および運動に関連させ,「基本要素」の内容,および関連する理論・モデルの構成概念から関連する質問項目を作成した. 次に,埼玉県比企郡ときがわ町の住民1,500名を対象に,これらの「基本要素」を量的に測定し,あわせて質的評価として,性別,運動ステージの高低,および職種の異なる18のフォーカスグループ・インタビューを行った.以上のように,ときがわ町に適合した介入方法を事前調査によって開発し,「健康づくりスモールチェンジ」というテーマで冊子およびポスターによる健康づくり活動を開始した.スモールチェンジとは,いきなりの運動や食事の改善を目指すのではなく,日常生活における小さな健康行動に注目し,それらの開始・継続を促すことで健康増進,また生活習慣病や慢性疾患の予防に結びつけることを目的とし,ソーシャルマーケティング方略を基にしたポピュレーションアプローチである、
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
埼玉県比企郡ときがわ町において,住民の特徴やニーズ,そして介入方法に関する質および量による事前調査を行い,それらの調査結果に応じた介入として「健康づくりスモールチェンジ」と題したヘルス・コミュニケーション介入を開始できた.これらの介入開始には,ときがわ町の協力および共同作業の成果が大きく,その後,複数の介入となって現在に至っており,次年度の評価結果に期待している.
|
Strategy for Future Research Activity |
埼玉県比企郡ときがわ町における健康づくりスモールチェンジ介入は,自治体の熱意や協力がきわめて大きいために,様々なタイプの介入を,同時に,しかも漸進的に実施することができている.次年度では,地域内における複数下位集団の査定とそれぞれに適合したメッセージの役割なども含めて研究を行いたい.
|