2013 Fiscal Year Annual Research Report
実践的有用性の高いアルゴリズム・プログラミング学習教育支援環境の構築
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24300282
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊東 幸宏 静岡大学, 法人本部, 学長 (20193526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 達裕 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (30234800)
小暮 悟 静岡大学, 情報学研究科, 講師 (40359758)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習支援システム / プログラミング教育 / アルゴリズム教育 / 教師支援システム / 自動評価 |
Research Abstract |
本年度は以下の成果を挙げた。なお文中の数字は、[1]アルゴリズム理解支援ツール、[2]教師支援ツール、[3]教材アーキテクチャおよび教材DBに関する成果であることを示す。 (a) 具体的データに対する処理手順を学習する環境(アルゴリズム再現場)の開発:前年度までに、アルゴリズム再現場においては対象世界をどのように視覚化するかが重要であるとの知見を得ている。そこで本年度は、プログラミング言語が直接的に提供するデータ構造(配列、構造体、ポインタなど)を視覚化するにとどまらず、課題やアルゴリズムに固有のデータ形式(木構造、グラフ構造、スタック・キュー等)をも視覚化する能力を実現するための教材エディタを設計開発し[3]、作成した教材を学習者に提示する環境を構築した[1]。 (b) 具体的操作手順の一般的な意味を捉えさせる環境(操作群グループ化場)の開発: 前年度において、操作群グループ化場を実現するプロトタイプシステムを用いて、大学教育の現場にて多重ループの意味理解を目的とした実験授業を行った。ここで得られた知見として、多重ループの難易度を左右する要因について仮説を立てた。本年度はこの仮説に基づいて、操作群のグループ化に基づく演習を行う際、初学者が多重ループを理解する際に障壁となっている要因に着目させる手法を開発し、実践からその効果を評価した[1]。 (c)データ分析結果を表示する教師支援システムの実装:既に開発したプログラム半自動評価システムの評価結果をリアルタイムに教師に提供し、演習中の学習者の進度を教師に俯瞰させるシステムを開発した[2]。 (d) 演習中の教師を支援するシステムの実装:(c)のシステムを基盤として、演習中に学生の個別指導を行う際に必要な情報をタブレット型PCで参照できる機構を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1]アルゴリズム理解支援ツールについては、アルゴリズム再現場・操作群グループ化場ともに当初の計画に相当する機能拡張を行うことができた。また操作群グループ化場については計画通りの実装を行った上、さらに研究代表者・分担者が所属しない大学におけるプログラミングの授業に適用して評価するなど、当初の計画より若干前倒しで研究を進めることができた。[2]教師支援ツールについては、当初予定していた演習時におけるクラス全体の進捗状況の把握支援機能に加えて、個別指導(机間巡視)の際に活用しやすいような工夫(端末のモバイル化、インタフェースや指導内容記録機能の強化など)を行った点は予定以上の成果を挙げているが、反面、このシステムを活用した授業の方法論については十分に検討を進めることができなかった。[3]教材アーキテクチャおよび教材DBについては、[1]のアルゴリズム理解支援ツールと組み合わせて順調に検討が進んでいる。以上を総合し、予定以上の成果を挙げた点と不足点が混在していることから、全体として「②おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のようにここまでの研究はおおむね順調に進展していることから、当初の計画通り研究を進める。具体的には本年度以下の検討を進める。 [A]アルゴリズム理解支援ツールの強化について: [A-1] 具体的データに対する処理手順を学習する環境(アルゴリズム再現場)の開発:初級から中級のアルゴリズム・プログラミング教育で学習対象となるアルゴリズム全般に利用できるように再構築する。H26は連結リストや木などの動的データ構造の処理を扱う。 [A-2] 具体的操作手順の一般的な意味を捉えさせる環境(操作群グループ化場)の開発:[A-1]で利用可能となったアルゴリズムについて、昨年度までに開発した学習環境である操作群グループ化場で利用可能にする。 [B]学習状況データの収集・自動分析を行う教師支援ツールの開発について: データ分析結果を表示する教師支援システムの実装を行う。機能としては、教師に有用なデータをリアルタイムで分析し、表示する。 [C}教師に対してオープンな教材アーキテクチャ及び教材DBの開発について:取り扱うデータ構造毎に教材オブジェクトを開発する。各データ構造オブジェクトは、表示方法を指定するパラメタをユーザ(教師)から受け取り、再現対象であるアルゴリズムの実行トレースデータをもとにデータ構造の値の変化を視覚化する機能を持つ。
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