2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24300293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 孝二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30291991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信原 幸弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10180770)
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
鈴木 晃仁 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80296730)
北中 淳子 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (20383945)
熊谷 晋一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (00574659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神医学 / 科学哲学 / 疾患概念 |
Research Abstract |
24年度は代表者・分担者を中心に、それぞれの研究領域に関する研究を進めた。石原は精神障害の哲学における「共通感覚」の位置づけや現象学的精神病理学の再検討、DSMと医学モデルの関係の検討を行った。信原は、合理性概念の分析および心の働きにおける情動の役割の解明を行いつつ、病的な妄想がどのような点で不合理であるかを探究した。河野は、発達障害と脳科学との関係や身体に関する現象学的研究を進めた。北中は、うつ病研究をさらに発展させつつ、児童精神医学の領域に関する調査・分析を開始した。鈴木は、日本における精神医学の歴史に関する研究を進めた。熊谷は、発達障害、慢性疼痛、依存症における当事者の自己記述を、外部からの経験的な研究とすり合わせつつ、予測、予測誤差、自己感、構成的体制の観点から理論的に探求した。糸川は、統合失調症に関する自身の生物学的研究にもとづきながら、統合失調症の異種性に関する考察を行った。 また、研究分担者、連携研究者間の連携を深めるため、全体研究会を2回開催した。全体研究会では、研究分担者が以下のタイトルで発表を行った。糸川「統合失調症の病態研究―生物学的アプローチから見えてきた疾患単位としての可能性と限界―」、北中「日本の欝:医療人類学的視点から」、石原「共通感覚の欠如としての精神疾患:歴史的・現代的意義の批判的検討」、信原「妄想の執拗さと実存的感情」、鈴木「戦争・労災・地震―日本の外傷性神経症の歴史から」。さらに外部から、テライ・サラ氏(フランス・東洋学研究所)に全体研究会発表での発表を依頼したほか、Kathryn Goldfarb氏(ハーバート大学)、Mads Gram Henriksen氏(Hvidovre精神科センター)アラン・ヤング氏(マッギル大学)による講演会を開催した。 さらに24年度は国際会議Tokyo Conference on Philosophy of Psychiatry(25年9月開催予定)の準備を進めるともに、シリーズ書籍「精神医学の哲学と歴史」(仮題、全3巻を予定)の企画準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度であり、論文・書籍による発表が少なかったが、これは信原・河野・石原が論文を寄稿した論文集の出版が送れ25年4月になったことも一因である。また、多くの研究発表・講演が行われており、研究活動は活発に行われている。国際会議や研究の成果として企画しているシリーズ書籍の準備も進められており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
国際会議や国内学会でのワークショップ等の開催を通じて精神医学の科学哲学に関する国内外の研究ネットワークを構築するとともに、本研究プロジェクトの成果として「シリーズ精神医学の哲学と歴史」(仮題)の企画を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初海外共同研究者たちを24年度中に招へいすることを計画していたが、24年度中に招へいすることが困難となり、25年度に招へいすることとした。また、併せて外部の研究者を招へいし、本研究テーマに関する国際会議を2013年9月に開催することとした。
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Research Products
(17 results)