2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミュージアムと地域活性化―変容するミュージアムの新たな経営課題
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24300312
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河島 伸子 同志社大学, 経済学部, 教授 (20319461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 亨 北海道大学, 文学研究科, 教授 (80292308)
小林 真理 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40257176)
山梨 俊夫 独立行政法人国立美術館国立国際美術館, その他部局等, 館長 (10393068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミュージアム / 文化政策 / 地域連携 / 創造都市 / まちづくり |
Research Abstract |
文化政策のドメイン自体の拡張に伴い、ミュージアムの「社会的意義」は、「まちづくり、地域活性化」と同義になりつつある。すなわち、一方では、福祉・教育・社会包摂などへの社会的貢献を、また一方では観光や地域発展に対する経済的貢献を含むようになっている。地域活性化に貢献するミュージアムという考え方の再検討、その適用に際しての軋轢と問題克服に向けた仕組みづくりについての考察を進めてきた。 第一に、日本のミュージアム運営が単なる効率主義に陥っていないか、それとも地域社会における位置づけを確認し、戦略的目標に沿って事業遂行に取り組むようになったか、を調べた結果、これまでのところ、非常にアントレプレナーシップ的な先進的事例があることも明らかになる一方、多くのミュージアムでは評価の仕組み作りにまだ四苦八苦している。 第二に、ミュージアムの地域社会貢献という観点から近年急速に関心を集めている「アウトリーチ」活動、さらに広く「インクルーシブ」なミュージアム運営という課題に関する実態と問題点としては、やはり先進事例もあるものの、全体には「とりあえずやっている」活動、という実態が見えてきた。特に地域との連携という点については、同じアートを扱っていてもいわゆる「アート・プロジェクト」にこそ興味深い事例が多く、ミュージアムを飛び出したこれらの動きとそれに対してミュージアムがどのように反応していくのかを調査する必要があるとわかった。 第三に、「友の会」「ボランティア」といった組織を、特に明確な目的なしに設置した結果、ミュージアムにも参加者にも効果を持っていないことが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの先進事例についてはヒアリング調査により明らかになった。また、分担者の一人は実際に2館と協働作業により評価プロジェクトを進めており、予定通り進行している。ただ、昨年度の最後に予定していたヒアリング調査が急に中止とせざるを得なかったため、若干遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
創造都市計画およびより小規模な「まちづくり」プロジェクトとの関連がミュージアムに与えてきた影響を探り、運営面でどのような工夫が必要かを分析する。具体的には、大阪市・中之島の文化地区構想と創造都市づくりへの動きが、ここに集積しつつあるミュージアム群(市立東洋陶磁美術館、市立科学館、国立国際美術館、設立準備中の市立近代美術館)にどのように影響するかについて、調査、分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画していた出張を伴う調査が、分担者、相手先の都合などで急きょ中止となったことがあったため。 今年度は出張を伴う調査はなるべく早い時期に予定を入れて順調に進めたい。
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