2014 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ・モザイク構造を考慮した成熟林の炭素吸収能力の再評価
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24310004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90391151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 秀行 信州大学, 教育学部, 准教授 (70324217)
飯村 康夫 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (80599093)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 成熟林 / 土壌呼吸 / 時空間変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,カヤノ平ブナ成熟林プロット内において,林内の環境の不均一性の確認および,炭素循環の主要経路の一つである土壌呼吸についての詳細な調査を行った。加えて,土壌中の有機物分解速度の測定として前年度に埋設した試料の回収を行った。 林冠の全天写真を10 m間隔で撮影し画像から開空度を算出することで,林内の植生構造の不均一性について定量化した。また,土壌の主要な物理環境要因として地表下5 cmの温度の観測を1年間,林内の15箇所の地点で行った。これらから林内環境の不均一性の定量および確認を行った。 前述の開空度を参考とし,林冠の大きく開けたギャップ地点と,林冠を覆われた成熟地点の二つの調査地点を設置した。これら二つの地点において,自動式の測定装置を用いた密閉チャンバー法により,土壌呼吸速度の連続測定を,2014年6月から9月にわたって5回(計15日分)行った。このとき,同調査地点における環境要因として,土壌温度,土壌含水率および光合成有効放射の連続観測を行った。土壌呼吸速度と環境要因の重回帰分析の結果,林冠環境の異なる二つの地点においては,土壌呼吸速度と環境要因の関係が異なることが示唆された。また,土壌呼吸速度と環境要因の関係式が算出されたことと,林内環境の連続観測の結果より,長期間における林内全体での土壌呼吸量の試算が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブナ成熟林の炭素吸収量を見積もるのに必要な主要な土壌呼吸フラックスの測定とその時空間変動の要因を把握できた一方で、当初予定していた4つのサイトではなく、現状では2つのサイトのみで測定を行っている。このことから、(2)のおおむね順調に進展している。を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで定量化の進んでいないササを含む林床植物のCO2吸収速度の測定を行う。これまでの研究成果から、同様のCO2フラックスである土壌呼吸速度の空間不均一性が大きく、林冠木の配置による森林構造が主な要因であることが明らかになっている。このことを踏まえて、林床植物によるCO2吸収速度の空間不均一性の把握とその要因についても明らかにしていく方針である。これらをもとに、対象としている成熟林の炭素固定量の再評価を試みる。
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