2014 Fiscal Year Annual Research Report
アダプティブ・マネジメントによるコウノトリ野生復帰の研究と実行
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24310033
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
江崎 保男 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (10244691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 和海 近畿大学, 農学部, 教授 (10330242)
佐川 志朗 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (30442859)
大迫 義人 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (40326294)
三橋 弘宗 兵庫県立大学, 付置研究所, 講師 (50311486)
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (50326295)
菊地 直樹 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60326296)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コウノトリ / 再導入 / アダプティブマネジメント / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
9ペアが繁殖を開始しており、2015年中には個体群サイズが80を越えると予測される。このうち半数は繁殖年齢に達しない単独のフローターであり、コウノトリの社会には多数のフローターが存在していることが明らかになった。また、これらのフローターの一部は、ペアのなわばり内に「居候」として滞在を許されており、ペアに替わって侵入者を追い払っていることがわかり、underworldの解明が一気に進んだ。生息適地解析においては、営巣場所選択が巣と周辺の開放立地との間の視認性,および巣から500mおよび2000m以内の採餌場所の面積によって規定されているとの仮説を立て,野生個体生息当時の営巣場所情報を基に解析を実施したところ、潜在的な営巣可能性は、採餌場所としての水田面積が広いほど,そして500m以内の視認性が高まるほど高くなることが判明した.周囲に採餌環境が十分に存在するという条件に加えて,同種他個体に起因する繁殖へのリスクが軽減されるため、視認性がコウノトリの営巣場所選択に影響を与えるものと考えられる。家系管理に関しては、家系情報に基づく繁殖ペアの重要度の評価を前年度に続いて行い、どのペアを繁殖させるかを決定するための参考資料とした。いっぽう、自活モデル地区の鎌谷川において水系の連続性を確保するための魚道施設が、予定より1年遅れて2015年3月にようやく完成したので、モニタリングは27年度に見送らざるをえなかった。また調査対象地区では、コウノトリ育む農法による水稲栽培が行われているが、これと慣行型農法とを比較したところ、各農法に特異な生物群集構造の成立が認められ、これには冬季湛水などの水管理や水田周辺に隣接する景観要素が影響していることがわかったので、多様な景観と農法が、多様な餌動物の生息に寄与する可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生復帰における自活モデル地区の河川改修が丸1年遅れたので、そのためモニタリングができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
県による河川改修が1年延期されたので、これが実行され次第、予定通り、水生動物のモニタリングを行い、最終年度の研究と実践を進め、研究を終了させる。
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Causes of Carryover |
自活モデル地区の河川改修が遅れ、これに伴う餌動物モニタリングができなくなった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
餌動物モニタリングに120万円の人件費・謝金が必要であり、これにともなう旅費・物品費も必要である。最終年度の研究会開催や報告書作成に55万円を必要とする
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Research Products
(16 results)