2013 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法のための加速器ターゲットシステムと中性子線量評価法の開発
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24310044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 名誉教授 (50099090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼塚 昌彦 純真学園大学, 保健医療学部, 教授 (70128544)
遠藤 暁 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90243609)
石川 正純 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80314772)
佐藤 斉 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90285057)
大瀧 慈 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20110463)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線 / BNCT / リチウムターゲット / 加速器 / 中性子 / ホウ素 / 中性子線量測定 |
Research Abstract |
これまでに開発したターゲットシステムは水冷式で2方式ある。両方ともターゲット本体に銅を使う。一つはターゲットに下方から多数のピンホールを通して水流を噴射する噴流式ですでに開発済みである。この方式では水流の厚みが厚く中性子の吸収が大きいことが分かったので、今回新しい方式を開発した。これは銅ターゲット自身にピンを立てた冷却システムである。水流を横からピンの付いた冷却部分を通し冷却効率を上げるものであり水の厚みを薄くでき中性子のロスを防げる。両者は同等の冷却効率があることを確認した。実機では陽子は3MeV,20mA(発熱は60kW)の出力を必要となる。ターゲット上でこの60kWの高い発熱があるのでこれに対して十分な冷却が可能かどうか確認する必要がある。現在それだけの出力を持った加速器がない。現在最も大きい出力があり共同研究が可能な放射線医学研究所の加速器を使った。最大電流は1mA弱である。1cm2当たりの発熱が同等の条件でシュミレーションした。構造解析コードを用いてピン方式のターゲットの発熱冷却システムを計算した。試験の結果約1cm2のビームスポットで3MeV,600μAまで冷却可能なことを確認できた。水温の上昇は20℃程度であった。冷却水の温度は20℃であるので、最大40℃までの温度上昇であった。リチウムの融点は180℃であるので十分な冷却能力を持つ。実機では200cm2以上のビームスポットにするので理論的には360kW以上まで冷却可能となった。 もう一つの目的は、熱外中性子の電離箱方式の測定器の開発である。熱外中性子をリアルタイムで測定する方法はいままでになかった。リチウムとホウ素を主とする材料の壁を使いファーウェストテクノロジー社のIC-17シリーズの形式で製作し、試験を行った。結果は良好で熱外中性子に対して十分な感度があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(理由)3年前の東北関東大震災の影響で放射線医学総合研究所(千葉)で使用していた加速器が一年ほど停止し、その後の影響があったが、昨年本科研費が開始された際からはほぼ回復した。新しいターゲットシステムも実験が順調に進んだ。そのほか熱外中性子の開発は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は主に温度特性が良く寿命の長いターゲットの開発と、熱中性子と熱外中性子が測定可能な電離箱を開発しリアルタイム測定を実現することである。具体的には下記を推進する。 (1)ターゲット冷却システムとターゲットの開発:これまでに設計、製作した冷却システムにより、銅を基盤とした水による冷却を行う。その反対側にリチウムを蒸着する。さらに陽子線照射による蒸散を防ぐためリチウムの上にタイゴールドなどの物理的に高強度の薄膜でカバーする。これが今回開発を推進するターゲットであり、試作品を製作し試験する。リチウムまたはリチウムに変わる金属材料も検討する。またリチウムターゲットの脆弱性であるプリスタリンの試験も行う。寿命のさらなる延長のための方法を考察し改良し、実質的にBNCGTでの使用では問題ないことを確認する。 (2)総合的線量評価システムの開発:加速器からのビーム強度をターゲット電流により計測し、中性子測定計とあわせて、速、熱外、熱中性子及びガンマ線のリアルタイムモニターシステムを開発する。方式としてガンマ線と速中性子線を同時測定する対チェンバーIC-17,IC-17Gによる線量測定系を改良し使用する。このため新たに熱外中性子と熱中性子測定用のチェンバーを開発し試験を行う。発生させた中性子をモデレータに通し、熱外中性子までエネルギーを落とした場所でのリアルタイム測定法を開発する。患部の近傍を、小型の対チェンバーIC-18,IC-18Gを使って線量測定をする方法も検討する。SOF検出器の使用も検討する。従来からの方法とも比較し整合性を取る。必要に応じてモンテカルロ計算も行う。 (3)線量測定の従来法との継続性:これまでの方法である金の放射化による測定を行い、比較し整合性を取る。ガンマ線測定の従来法は、TLDによるガンマ線測定法であり比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中性子発生ターゲットの消耗が予定より少なく実験が予定より少ない費用で終了したため。中性子発生ターゲットにより中性子を発生させるが、一定の期間で消耗する。実験の目的の一つはそれらの寿命を調べること、そしてその寿命をより長くすることにあった。CrNの薄膜でカバーすることで寿命が延長できた。これは今回の成果の一つで、その確認やさらなる寿命延長のため次年度により拡大した実験を行う。 CrNの薄膜の性能試験を中心とする。リチウムを使ったターゲットを製作することが次年度の目的のひとつであるが、CrNの寿命延長に対する効果がどの程度か、実用的に十分使えるかどうか実験する。もし十分な寿命延長効果があるならば方法として簡略で安価となるので重要な成果となる。そのための試験を追加し行う。
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[Journal Article] Workshop report on atomic bomb dosimetryvresidual radiation exposure: Recent research and suggestions for future studies2013
Author(s)
G. D. Kerr, S. D. Egbert, I. Al-Nabulsi, H. L. Beck, H. M. Cullings, S. Endo, M. Hoshi, T. Imanaka, D. C. Kaul, S. Maruyama, G. I. Reeves, W. Ruehm, A. Sakaguchi, S. L. Simon, G. D. Spriggs, D. O. Stram, T. Tonda, J. F. Weiss, R. L. Weitz, and R. W. Young
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Journal Title
Health Phys.
Volume: 105
Pages: 140-149
DOI
Peer Reviewed
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