2012 Fiscal Year Annual Research Report
石綿肺早期発見と病態解明をめざすイオンビームを応用した新手法の開発
Project/Area Number |
24310067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
土橋 邦生 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (00241894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (10370404)
石塚 全 福井大学, 医学部, 教授 (50302477)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アスベスト / 肺線維症 / 石綿肺 / 大気マイクロPIXE / 肺組織中の元素分布 / 塵肺 |
Research Abstract |
(1)発癌、線維化の病態解明:アスベスト吸入患者の手術摘出肺組織から、連続切片を作成する。microPIXEを使用した組織切片中の元素分析から、アスベストの位置を同定する。一方、免疫組織染色により遺伝子産物の発現分布の同定と、レーザーマイクロダイセクション法によるアスベスト周囲組織の遺伝子解析を行う。以上の各データを総合し、アスベストの発癌、線維化の機序を明らかとする。24年度は、石綿肺患者の組織を採取し、肺組織中のアスベスト周囲からレーザーマイクロダイセクション法にて組織を採取している。手技が高度なため確立に時間を要したので、採取した組織の遺伝子解析は25年度となる。 (2)粉塵吸入が疑われる患者のパラフィン包埋肺組織を用い、粉塵吸入の有無と吸入があった場合の粉塵の種類の同定:アスベストを含めた塵肺吸入による肺線維症の発症を証明する目的で、他施設より4症例につき大気マイクロPIXEによる測定依頼があった。肺組織をPIXEにて分析した結果、1例において職場で使用していたアルミニウムが大量に検出され、職業性のアルミニウム吸入による肺線維症の可能性が明らかとなり、労災認定の際の参考資料となる。この症例については、25年度に発表予定である。他の1例については、肺組織内に特別多量の元素沈着は測定されず、粉塵吸入とは関係のない肺線維症であると証明した。他に関しては25年度測定予定である。今まで我々がPIXEにて解析してきた症例につき、論文化した。(Shimizu Y, Dobashi K. Curr Med Chem)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発癌、線維化の病態解明に関しては、現在肺組織から遺伝子を採取中である。肺内のアスベスト周囲からレーザーマイクロダイセクション法により組織を採取する方法の確立に時間を要したためやや遅れている。25年度には予定していた遺伝子解析を行いその結果が出るので遅れは取り戻せる。粉塵吸入が疑われる患者のパラフィン包埋肺組織を用い、粉塵吸入の有無と吸入があった場合の粉塵の種類の同定に関しては、他施設より4件の依頼があり、今後さらに症例を重ねる予定であり、こちらは計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
発癌、線維化の病態解明に関しては、レーザーマイクロダイセクション法は、24年度確立できたので、25年度は遺伝子解析を加速化させる。粉塵吸入が疑われる患者のパラフィン包埋肺組織を用い、粉塵吸入の有無と吸入があった場合の粉塵の種類の同定に関しては、25年度ホームページを作成し、広く全国より検体を募集する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発癌、線維化の病態解明に関して、石綿肺組織からアスベスト周囲の組織をレーザーマイクロダイセクションにより採取し、その遺伝子解析を行うが、手技が高度なためその確立に時間がかかった。そのため遺伝子解析の開始が遅れた。24年度分の遺伝子解析費用を25年度に使用する。
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