2013 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造半導体/酸化膜界面のハイスループットモデリング技術の開発
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24310082
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邉 孝信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00367153)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面・界面ナノ科学 / シリコン / 絶縁膜 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
立体構造デバイスの研究開発を支えるため、ナノスケールの半導体結晶、およびそれを覆う酸化絶縁膜の原子論的界面構造モデルを、ハイスループットで自動生成する技術の開発に取り組んだ。 当該年度は、開発したモデラーの応用計算として、酸化膜被覆型シリコンナノワイヤのフォノン状態密度と熱伝導率の計算を行った。酸化膜との界面近傍の原子配置の乱れにより低エネルギー側のフォノン分散関係が乱れ、これにより熱伝導率が著しく低下することが判明した。また前年度に導入したGPU汎用並列計算で、ナノワイヤ型トランジスタのキャリア輸送シミュレーションを10倍以上高速化することに成功し、デバイス特性の統計ばらつきの議論を計算機上で行うことを可能にした。GPU汎用並列計算が古典分子動力学計算一般に有効であることが明らかとなり、酸化絶縁膜のハイスループットモデリングを更に高速化できる見通しを得た。さらに、複雑な界面形状を直観的に把握し酸化膜構造生成プログラムのテストおよび様々な系への応用を効率的に進める3次元没入型可視化システムの開発に着手した。当初立体視ディスプレイを使用する予定であったが、特別な機材を必要としないマーカーレス拡張現実でも効果的な可視化が可能であることがわかった。 酸化膜モデラーの性能評価のため、酸化被膜付きシリコンナノワイヤの製作実験にも取り組んだ。トップダウンプロセスで製作するシリコンナノワイヤの場合、熱酸化後の熱履歴の違いでシリコン結晶中に残留する応力に著しい差が生じることが、顕微ラマン測定等で判明した。シミュレーションで再現した酸化被膜付きシリコンナノワイヤにおいても、酸化誘起歪により光学フォノンのソフトニングが再現され、開発したシミュレーション技術で実験と比較可能なレベルのデータが得られることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展している項目が多くある一方で、次年度の課題として持ち越している項目もあるため、「②おおむね順調に進展している」と自己評価する。自動酸化プログラムの応用計算では具体的な成果が得られており、順調に進展しているといえる。様々な結晶構造に適用可能な万能酸化膜モデラーへの仕上げ、3次元没入型可視化システムの開発については、次年度も引き続き取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な結晶構造に適用可能な万能酸化膜モデラーへの仕上げ、3次元没入型可視化システムの開発に取り組む。さらに、計算の対象をシリコン以外の半導体に拡げるため、新しい多元素混在系用原子間ポテンシャルの開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GPU汎用並列計算による高速化の効果が期待以上に大きく、大型計算機の導入を急ぐ必要がなくなったため。 大型計算機サーバーではなく、GPUを搭載したワークステーションを新たに導入して酸化膜モデラーを用いた応用計算を進める。また実験による検証を進めるため、シリコンナノワイヤの酸化プロセス実験のための施設利用費、分析料に充てる。
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Research Products
(26 results)