2012 Fiscal Year Annual Research Report
理論計算を必要としない赤外円二色性スペクトルによる新規絶対配置決定法の開発
Project/Area Number |
24310151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
門出 健次 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (40210207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 透 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (00587123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | VCD / 絶対配置 / キラリティー / 励起子 / カルボニル / 非経験的 / コンフォメーション / 角度依存性 |
Research Abstract |
α-ヒドロキシブチロラクトンアセチル体1cは、非常に強い分裂型VCDスペクトルを示している。今回、鏡像体の合成を実施、VCDが完全に逆転することを確認すると共に、1cの理論計算を実施、アセチル部分のコンフォメーションがsynコンフォメーションであることを確認した。 比較的コンフォメーション解析が容易であり、かつ、他種類のアセチル基を有するキラル素材として糖鎖を選択した。分裂型VCD吸収の角度依存性を念頭において、二つのアセチル基が様々な角度となる、糖鎖2~6を設計し、その合成を行った。化合物2は、D-マンノースを出発原料として、既知のスキームに従って合成した。また、D-グルコースを原料として、化合物5の合成を行った。D-マンノース、D-ガラクトース、L-フコースをそれぞれ、出発原料として、2,2-ジメトキシプロパンによる選択的ジオール保護により、光学活性な3,4,6の合成を行った。合成された糖類のVCD測定を行い、正負の分裂型(又は逆)のスペクトルを確認すると共に、その強度と二つのカルボニル基の遷移モーメントの角度との関係を明らかにした。 次に、二つのカルボニル基の距離の依存性を検討するために、リジッドな分子であるステロイド誘導体を利用した。既知のステロイド誘導体から化合物7,8を合成した。それぞれの距離とVCD強度の関係を明らかとし、本法のスコープ&リミテーションを検証した。また、リジッド、かつ、二つの同一のケトンカルボニル基が二つ存在するキラルなスピロ化合物9を、既知の方法によりラセミ体をとして合成し、キラルカラム法により光学分割し、光学活性体(aS),(aR)-9を調整した。スピロ化合物9は、コンフォメーションの揺らぎがほとんどなく、二つのカルボニル基が近距離で直角の関係にあるため、最大級のVCD強度を観測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の第一段階において、種々の化合物において、今回提唱して原理が正しいことが確認できた。 また、このことは、本法が様々な化合物へ応用可能であることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
鎖状化合物については、コンフォメーションが多くなるため、困難が予測される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
鎖状化合物の鎖状の長さを変え、検証を実施するとともに、逆にコンフォメーションの解析に利用可能かどうか検討する。
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Research Products
(7 results)