Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 英幸 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (80227579)
清木 康 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (10169956)
太田 達也 南山大学, 外国語学部, 准教授 (50317286)
倉林 修一 慶應義塾大学, 環境情報学部, 講師 (70458959)
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Research Abstract |
本研究の目的は,グローバルなネットワーク社会において, 学習者の日常そのものを「学び」の場とする体験連動型外国語学習環境の国際的実利用環境を構築することである. 本研究は, 外国語教育研究者, ユビキタス・システム研究者, データベース・システムの研究者の三者共同研究として, 外国語学習者の時空間的状況を分析し, その分析結果に応じて必要な実践的知識を自動配信する "体験連動型ユビキタス・外国語教育メディア自動配信システム" を構築し,構築したシステムを用いた体験連動型の教授法を確立し, 有効性を検証する. 研究代表者および研究分担者は, 平成24-25年度にかけて, 下記(A)-(C)の研究項目を実施した. (A)学習者が所持するスマートフォン内蔵センサ群による状況変化を発生イベントとし, そのイベントをトリガとしてマルチメディア・データベースを起動し, その状況に合致する外国語教材を対象学習者へ自動配信するという新しいマルチメディア教材配信を, マルチメディア・データベースの自動起動と知識獲得により実現するシステムモデルの設計を行った. これにより、例えば, 外国語授業において得られる文法知識, 語彙知識, 表現に関する知識を, 日々の生活の中に外国語学習の場が加わった実践的実習環境で活用する, そのための情報基盤を実現することができる. (B)学習者・研究者が所持するスマートフォン内蔵のカメラ・センサ機器から得られる時空間情報を対象として, 迅速なデータベース検索および分析機能群を起動し, 利用者のコンテクストを抽出する機能を実現した. (C)検出したコンテクストに適合する学術情報を獲得する機能を実現するために,ドイツ語学習分野を対象とした評価実験においては, ドイツ語圏の協力関係にある大学・教育機関のネットワークを広げ, 共同で評価実験, および実証実験を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である, 体験連動型ユビキタス・外国語教育メディア自動配信システムの国際的実利用環境構築は, 位置情報の取得をスマートフォン内蔵のカメラ・センサ機器に結びつけることで, 汎用性の高い学習環境の実現を達成しつつあるといえる. 特にマルチメディア・データベースの起動・ その状況に合致する外国語教材の対象学習者に対する自動配信は、その完成データの作成・構築を基盤とする点で、重要なステップを完了した. 既に国際的実証実験として, 春季にドイツ語圏における体験連動型ユビキタス・ドイツ語教育メディア自動配信システムの運用をおこなった.この結果は国際ドイツ語教育学会IDT(Internationale Tagung der Deutschlehrerinnen und Deutschlehrer 2013)に採択され, 同年7月にボーツェン自由大学(伊)において開催された学会において発表した("Deutsch auf der Spur ― eine intelligente Lernumgebung zum erfahrungsbasierten Lernen im deutschen Alltag" / 『ドイツ語の軌跡 ー ドイツ語圏の日常生活を対象とする体験連動型学習環境』). 同年には査読付論文(英語論文: "An Experience-Oriented Language Learning Environment Supporting Informal Learning Abroad", ドイツ語論文: "Bruecken in den Alltag; Wie koennen digitale Lernumgebungen das Lernen beim Aufenthalt im Land der Zielsprache unterstuetzen?")を発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,外国語運用能力の1つであるライティングに重点を置く継続実験および学習者側にみられる効果要素の分析・評価の提示を目指す. 学習言語であるドイツ語によるライティング活動の促進・運用能力の可視化を機能として付加する予定である. 協働学習・自律学習両者の要素が体験連動型学習環境システムの中でどのように同期するのか,その変化プロセスに着目した評価を提示する.特定の言語運用能力に特化した分析をおこなうことで, システム構成の有効性を明確にする.なお、本研究内容はEUROCALL学会 (the European Association for Computer Assisted Language Learning)により採択されており, 平成26年度8月にオランダのグロニンゲン大学(The University of Groningen)において開催されるEUROCALL 2014において口頭発表をおこなう ("Context-aware writing support for SNS: Connecting formal and informal learning"). さらに外国語教育メディア学会(LET)にも発表申請が採択されており,8月に福岡大学で開催される第54回全国研究大会で口頭発表をおこなう(インフォーマル・ラーニングにおける学習行動の質的研究 ― ドイツ語学習成功者の語りと学習環境設計への示唆 ―What do good learners teach us about good learning environments? A qualitative research project on informal learning behaviours among learners of German at Japanese universities).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究のための成果発表申請が現在のところ2件採択されており(国際学会1件、国内学会1件)、さらに今後、3件の国際学会および国内学会での発表申請を予定しているため、本年度の研究経費の節約を行い、その参加に予算を計上することが理由である. 採択された1件については、EUROCALL学会 (the European Association for Computer Assisted Language Learning)において, 平成26年度8月にオランダのグロニンゲン大学(The University of Groningen)において開催されるEUROCALL 2014において口頭発表をおこなう ("Context-aware writing support for SNS: Connecting formal and informal learning"). さらに外国語教育メディア学会(LET)にも発表申請が採択されており,8月に福岡大学で開催される第54回全国研究大会で口頭発表をおこなう(インフォーマル・ラーニングにおける学習行動の質的研究 ― ドイツ語学習成功者の語りと学習環境設計への示唆 ―What do good learners teach us about good learning environments? A qualitative research project on informal learning behaviours among learners of German at Japanese universities). 上記2件の旅費に充当する.
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