2012 Fiscal Year Annual Research Report
二大政党化の進展と政策対立の停頓:選挙制度改革以降の有権者-政党関係の変容
Project/Area Number |
24330045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
S・R Reed 中央大学, 総合政策学部, 教授 (10256018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 亮佑 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (80345248)
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30457816)
荒井 紀一郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (80548157)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 選挙研究 / 日本政治分析 / 政治過程論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、選挙制度改革に付随して生じた有権者と政党との関係の変化を捉えた上で、有権者をめぐる様々な「対立軸」が、今日の選挙民主主義において果たす機能を明らかにすることにある。そこで平成24年度は、まず、有権者間に存在する「対立軸」の抽出を試みた。具体的には、第1に、様々な世代や職業の有権者を対象としたフォーカスグループインタビュー(FGI)、第2に、12月の衆議院選挙での各党の政権公約・マニフェストの分析、第3に、衆院選に合わせたウェブ調査を実施した。 FGIでは、「保守-革新・リベラル」あるいは「小さな政府-大きな政府」といった政治をめぐる様々な用語が、現代の有権者に想起させるイメージを的確に把握することを試みた。分析の結果、有権者は確かに「保守-革新」、「小さな政府-大きな政府」、あるいは「タカ派-ハト派」といった政治における伝統的な対立軸を認識しているものの、「保守」「小さな政府」といった個別の概念については、有権者間の認識に大きなバラツキもあることが明らかになった。また、「若者-高齢者」や「都市-地方」といった近年注目されることの多い軸についての認知と、それらの軸を基にした政策態度が形成も確認された。 次に、FGIでの分析結果と衆院選における各党の政権公約・マニフェストから政策対立軸を抽出して質問項目を作成し、衆院選前後にウェブ調査を実施することで、これらの対立軸の分布と業績評価、投票行動との関係について分析を行った。分析の結果、自民党と民主党による二大政党化を好まない有権者ほど、野田内閣に対する業績評価の高低にかかわらず、第3党に投票する傾向があることがわかった。このことは、有権者の政党システムに対する選好が、内閣業績評価と投票行動との関係に影響を与えていることを意味しており、投票行動研究における新たな知見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、もともとFGIとマニフェストの分析によって、有権者間に存在する「対立軸」の候補を探し出すことが主な目標であったが、12月に衆議院選挙が実施されたため、これに合わせてインターネット上ではあるが選挙調査をおこなうことができ、「対立軸」と投票行動との関係についての分析を進めることができた。また、これらの分析によって得られた知見には、既に公刊が決まっているものもあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降、本研究は、引き続き有権者間の「対立軸」が政策争点態度や業績評価、あるいは投票行動に及ぼす効果に着目しつつ、県議会議員調査も実施することで、有権者一政治家における「対立軸」にも焦点を当て、これらの「対立軸」のズレが政治現象に与えている影響を明らかにする方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度における研究費の主な使用計画は以下2点である。第1に、7月に予定されている参議院選挙に合わせて実施する郵送調査、第2に、25年度後半に実施を予定している県議会議員調査である。
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Research Products
(4 results)