2015 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサルサービスの在り方をサービス横断的に検討する実証研究
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24330089
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (00368581)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユニバーサルサービス / 公平性 / 地域格差 / 公益事業 / 通信 / 交通 / 実証分析 / 消費者選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来想定されなかった代替サービスが普及し、かつ、消費者選好も多様となってきたわが国の現状を踏まえ、ユニバーサルサービスのあり方を実証的観点から再検討する研究である。特に、昨今の財政的な制約を鑑み、サービス横断的な観点や代替性のあるサービスについての検討に焦点を当てている。また、2011年3月の東日本大震災での公益事業サービスの利用停止等を鑑み、利用可能性としてのUS維持以外に短期間にサービスが利用できなくなることに対する消費者選好についても分析することを目的としている。 平成27年度は、ユニバーサルサービスの議論において重要となる利他性の分析を行い成果の一部を査読論文として公表した。本論文は、ユニバーサルサービスの判断のベースとなる利他性を意識した政策の在り方を提言している。具体的には、公益事業サービスの維持に関して地方分権的意思決定の視点が取り入れられる中で、地方の政策決定者が意識する利他性の観点を加味した政策決定システムを経済実験の成果を取り入れて提言している。また、本年度は「代替可能性のあるサービスの維持に関する選好調査」に関するアンケートデータの分析を行い海外学会での発表を目指し取りまとめを行った。加えて、音声通話サービスにおいて昨今普及が進んでいるLINE、SkypeなどのOTT型サービスと、従来型の通信事業者が提供するサービス(このうち加入回線の音声通話がユニバーサルサービス対象)の市場構造を解析し、消費者選好に関する分析も行い、論文として取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度に、WEB調査と他の手法による調査実施を計画していたが、当初想定していなかった考慮すべき課題が見つかったことなどから、調査票の再設計等による遅れが生じ、平成26年度にある程度挽回したが、現在も当初予定から遅れが生じています。平成27年度にもある程度挽回したが、結局、平成28年度まで研究を持ち越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、当初、ヒアリング調査とWEBアンケート調査を中心に分析することを計画していましたが、これまでの研究結果から、経済実験的手法も取り入れて課題に取り組んでいます。昨年度から引き続き、当該分野の研究者にご協力を頂くことで内諾を得て、研究を取りまとめています。また、ヒアリング調査の結果、シェアリングエコノミーの視点から公共サービスを捉える視点が昨今出てきており、研究計画では、平成27年度が終了年度でしたが、シェアリングエコノミーなど新たな視点をユニバーサルサービス維持のために整理する必要性等が分かったため、平成28年度まで延長して、研究を完了する予定です。
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Causes of Carryover |
本研究の対象である公益事業分野では、研究機関中においても規則改革やITCの進展により新サービスが登場してきた。例えば、公共交通の一つであるタクシー市場においてもインターネット事業者が従来型と異なるビジネスモデルでサービスを開始するなどしている。本研究ではこれら新サービスを含めた地域サービス維持の在り方を分析すべきと考えたが、調査設計のためのヒアリング調査等に時間を擁したため時間延長となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新サービスを含めたアンケート調査を実施し、学会報告を行うと共に論文としてまとめ、本研究を取りまとめる。
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