2014 Fiscal Year Annual Research Report
北方圏における地域企業の産業クラスター形成に関する研究
Project/Area Number |
24330112
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
小田 福男 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80125377)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 敬太 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (10581861)
乙政 佐吉 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20379514)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 産業クラスター / 地域間国際交流 / 6次産業化 / 住宅産業 / ロシア極東 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道における地域企業の産業クラスター形成に関して、笹本・加藤(2015)は、北海道において「食クラスター」等で近年注目される6次産業化のケーススタディを行った。具体的には「パイオニアジャパングループ」の事例分析を行った。同社は、「惣菜の総合メーカー」という企業ドメインに基づき、地域の「食」資源を活用しながら1次、2次、3次産業を掛け合わせて一貫体制となった6次産業化のビジネスシステムを形成していた。北海道の地域資源を活用した6次産業化といった産業クラスターの実態が明らかとなった。
また、小田(2015)は、平成25年度に実施したロシア現地調査(ロシアサハリン州、モスクワ地域)および関連資料に基づいて、サハリン住宅建設企業の動向を取りまとめた。まず、近年のサハリン州およびユジノサハリンスク市における住宅建設実績に関して、減少の年(2012年)と増大の年(2013年)がみられ、変動的である。さらに、住宅建設企業4社を取り上げ、事例分析を行った。砂利・砕石業を本業とするF社は、住宅建設のみならず食品、サービス業等の分野に積極的に多角化している。また、国際的な提携関係の形成にも力を入れている。サハリンの建設業界のリーダーと目されるS社は、国際的な石油ガス開発プロジェクトへの参画によって実力をつけ、住宅建設や住宅ライフライン整備等の分野に事業展開している。経営は、3人の経営者による仲間型経営である。いち早くコンクリート一体成型多層住宅建築時術を導入したE社は、近年プレファブ低層住宅建設のための生産ラインを設置・稼働させた。経営は、親子関係を中心とした同族経営である。木材加工分野から発展した生産協同組合M社は、木質枠組みパネルや木造住宅に力を入れている。経営は、コリア系同族経営である。 一部の高品質建材が北海道から輸出されており、今後の動向が注目される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適宜、文献レビュー、インタビュー調査、学会報告、論文による成果の公表は予定通り進行しており、おおむね順調に進展している(ただし、昨年後半以降に、主な対外的調査対象であるロシアの経済的変調が生じ、今年度に追加の現地調査が必要になった)。
|
Strategy for Future Research Activity |
1、ロシア経済の変調が、北海道との地域間国際交流に与える影響の調査。すなわち、クリミア・ウクライナ問題を契機とする経済制裁、国際的石油・ガス価格の低落、ルーブル相場の下落、インフレの進展等によって、ロシア経済は変調・停滞し、景気は大きく悪化した。この状況は、北海道とロシア極東との地域間国際交流の状況に大きな変動(おそらくマイナスの方向での変動)をもたらすであろう。住宅産業クラスター形成における外需搬入に対しても多大な影響をもたらすと考えられる。これらの点に関して、今年度補足的に追加調査を実施する必要が生じた。住宅建設企業にどのような具体的(悪)影響をもたらしているのかを個々の企業にインタビューする。合わせて、2013年9月調査において調査不十分であった項目について補足的にインタビューする。
2、上述の今年度現地調査から得られる情報およびその他の、これまでに収集した各種の情報・知見に基づいて、北海道地域企業の産業クラスター形成と地域間国際交流による国際的リンケージとの相互関連性について、取りまとめる。
|
Causes of Carryover |
本研究では、北海道における産業クラスター形成とロシア極東との地域間国際交流との関連に着目している。2014年夏以降、ウクライナ紛争に伴う経済制裁、原油価格の大幅下落、ルーブル安等によってロシア経済に大きな変調が生じた。経済成長の大幅減速、2015年はマイナス成長も予測されている。 このようなロシアの景気減速は、北海道とロシア極東との地域間経済交流にも多大な影響を与える。ロシア極東の経済停滞状況の深さと期間等について、ロシア極東等の現地調査が不可欠になり、その調査の識見を踏まえて最終的研究成果を提示する必要が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主な使途は、現地調査である。8月から11月の間の適切な期間に、ロシア極東地域(サハリン、ウラジオストック等)とモスクワを訪問し、現地経済の変調・停滞の広がりと深さ、今後の変調・停滞期間の見通し等について実地調査する。そして、北海道との地域間国際交流および北海道の産業クラスター形成に対する今後の影響を評価する。特に、北海道にとってのビジネスチャンスの拡大、需要搬入に対する影響を調べる必要がある。 さらに、北海道内での補足的アクションリサーチ、研究成果の公表等に使用する計画である。
|
Research Products
(5 results)