2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・コーポレーションとイスラーム的企業:企業の多元的展開の方向性に関する研究
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24330125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
櫻井 秀子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 安治 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00146953)
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
中屋 信彦 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (20325559)
木村 有里 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (40381652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イスラーム経営 / シャリーア / コーポレーション / ワクフ / 贈与 / 社会的企業 / イラン / 中国 |
Research Abstract |
経営的効率から登場した近代組織のコーポレーションは、イスラーム経営にはない組織体であるが、その理由を積極的観点から考察するために、現在のグローバル経営環現において台頭するコーポレーションのもつ問題性を、人間の非人間化、組織の人間化の両側面から考察する一方、イスラームにおけるコーポレーションの不在をイスラーム法、シャリーアにおけるワクフの位置づけとの関連にて考察を進めた。本観点の一環として、イランにおけるワクフを社会経済的観点から分析した研究に焦点をあて研究を開始した。 中国企業の調査においては、中国経済の中枢を担うビッグ・ビジネスに焦点をあて、その「資本」としての一般性・共通性と、党国家体制下であるがゆえの特異性について検討した。中国のビッグ・ビジネスについては、国営企業が1978年以来の経済改革の軌跡を、企業財務制度改革、会計制度改革、原価管理改革、労務管理改革の各側面から浮き彫りにし、中国型コーポレーションは、党国家資本企業として資本が自立的に機能する組織であることを示した。 タイの企業においては、仏教的道徳観にもとづくタイに固有な知足経営とそこから導かれる企業概念、およびタイ企業による社会貢献活動の形態を調査するとともに、経済成長の著しいタイにおいて日本のシステムが、日系企業を通じてタイに伝搬している事例を調査した。 社会的企業(SE)の調査においては、アンケート調査の分析を行い、日本については、事業性の観点からみて英米の国と比較しても、事業性を備えている売上高1億円以上のSEが少なくなく、またSEにおける仕事では、内発的に動機づけられた自己の没入感覚を伴う「フロー(flow)」の特徴の表れるケースが多くみられ、獲得しているケースが多いことも明らかとなり、コーポレーション的企業環境のアンチテーゼの一つともいえるSEが拡大する背景の一つを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各分担者との研究連携も順調にとることができ、イスラーム的企業に代表される非一コーポレート的特徴の比較研究も順調であり、次年度に向けての研究基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、各研究者の研究分担領域に関連する地域における現地調査を展開する。研究代表者はイランにおける現地調査を予定しているが、ビザの発給問題、紛争ぼっ発の可能性も否定できず、その際には延期が余儀なくされる場合もありうる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シャリーア研究の英語文献翻訳の謝金、研究成果の英語への翻訳謝金が翻訳の進捗状況により、支払いがなされず残金となったが、本年度はこの翻訳を進行させ、今年度予算と合わせ使用する予定である。
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