2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本型コミュニティ放送の成立条件と持続可能な運営の規定要因
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24330167
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松浦 さと子 龍谷大学, 政策学部, 教授 (60319788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 智子 情報科学芸術大学院大学, その他の研究科, 教授 (40383971)
小川 明子 名古屋大学, その他の研究科, 准教授 (00351156)
林 怡蓉 大阪経済大学, 情報社会科学部, 准教授 (10460990)
松浦 哲郎 大妻女子大学, 文学部, 助教 (10510563)
北郷 裕美 札幌大谷大学, 社会学部, 准教授 (20712623)
寺田 征也 東北大学, 情報科学研究科, その他 (40583331)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニティラジオ / コミュニティ放送 / 臨時災害FM放送 / コミュニティジャーナリズム / パブリックアクセス / 非営利放送 / 防災・減災・復興 / 公共性指標 |
Research Abstract |
24年度は、北海道全コミュニティ放送の公共性指標について研究した北郷裕美の調査を共有し、全国調査に応用する可能性について検討した。日本のコミュニティ放送は、これまで経営状況を中心とした5年おきの再免許交付を唯一「評価基準」としてきたが、コミュニティ放送がどのような役割を果たし、その成果をどのように評価し、その評価にコミュニティがどのように関わるかについて検討してこなかった。北郷氏はそこにスポットライトを当て研究を続けており、日本型のコミュニティ放送の規定要因を明らかにする上で重要な指摘を行ってきており、25年度も継続する。 また、金山智子氏はトヨタ財団の財源を用い、臨時災害放送局の被災後の活動調査を率い、「復興FM」の概念を提言、科研費調査メンバー(金山智子、松浦さと子、日比野純一、宗田勝也、松浦哲郎)が同調査に参加したこともあり、日本マスコミュニケーション学会年次大会ワークショップで科研費を用いて報告を行った。 日比野純一は、「災害とラジオ」のテーマでインドネシアの研究調査を行っており、インドネシアのコミュニティラジオのネットワークの中心メンバーを本科研費を用いて東北の臨時災害局に案内し、火山噴火や津波等の自然災害の多い同国の制度化に提言を行った。同国の訪問団は、龍谷大学でインドネシアの災害時のコミュニティラジオがボランティアによって多くの局が立ち上がるものの、住民の支持がない局が持続できない問題に直面しており、日本の制度化に学んでゆかれた。しかし、住民の署名によって免許交付がなされるコミュニティのオーナーシップについては日本も学ぶべきことがあると感じられた。 ほかに、金山智子は奄美大島等の島嶼部調査を、松浦さと子は原発立地県のコミュニティジャーナリズムについて,小川明子も東海地域の調査を行った。また、福島からの避難者とともに研究集会を行い、女性の参加について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属先の変更や、昇進に伴う学務の増加、妊娠出産等の理由で予定通りに進まなかった分担者もいたが、予定以上に調査、執筆の進んだ分担者や協力研究者の活躍で、全体としてはおおむね順調に進展しているといえよう。 しかし分担者が多忙なため日程調整が難しく、研究会を開催し調査研究成果を共有できておらず、それぞれの調査はほぼ順調に進んでいるものの、全体としての進展を補足する必要がある。ただ、北郷裕美の北海道調査成果も、金山智子らのトヨタ財団助成を財源とする調査も出版に到達しており、グループ全体としては成果が出ているといえよう。 科研費で実施しようとしていた総務省調査やJCBAの調査が、トヨタ財団の財源により先行してしまい、調査主旨が若干異なるために、本調査の主旨で再度25年にやり直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
日本のコミュニティ放送は、臨時災害局が明らかにするように、真に必要とされる市町村に設立・持続することに大きな困難がある。自然災害が多い日本では、災害時の活躍が期待されるあまりに、施設や設備の費用負担が重く、意欲や自発性だけでは設立も持続も難しい。経済力に依存するあまりに一部の富裕者によって開設されるケースが少なくなく、コミュニティ全体のオーナーシップや、聴取率、制作市民参加数の低さにつながっていることが考えられる。 本年は、裕福ではないエリアでコミュニティ放送がうまく運営されている島嶼部の工夫や、NPOによる運営に注目しながら、質問紙調査の必要性の有無も判断し、どのように研究をまとめるかを検討しながら、調査を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病気療養のため所属先を退職した分担者の分担金の返還。 自宅療養する元分担者が自宅において翻訳等を行う。
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Research Products
(14 results)