2014 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期における社会事業の展開-自由と全体性の変遷をめぐって-
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24330182
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
杉山 博昭 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (20270035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会福祉思想 / 社会福祉史 / 方面委員 / 地域社会福祉史 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦前期の社会事業について、その歴史的性格を明らかにするために、「自由」と「全体性」をキーワードに、慈善事業から社会事業へと変遷するプロセスで、政策や実践の性格がどう変化していくのか分析した。。具体的には「思想」「児童」「地域」の三つの観点から検討している。「思想」においては、前提として、自由というものが我が国でどう受け止められたのかを分析したうえで、社会事業の基盤といわれる社会連帯思想について、社会事業以外の領域ではどう把握されているのかを検討し、社会連帯と全体性との相互の関係を明らかにした。また、社会事業とは直接関係ない人物の視点に立って、当時の社会問題の実態を把握した。 「児童」については、児童虐待防止法と、少年教護委員制度という、1930年代に登場し、戦後は児童福祉法に吸収される二つの制度に着目した。両者が一面では人権擁護の性格を強く持って、児童の権利擁護を積極的に実現していく性格をもっていた。その点では、国民の自由を確保していく方策であった。しかし、その実施においては法が設計した通りではなく、むしろ当時の政策や実践の限界を示すことになった。 「地域」においては、東京のプロテスタント系セツルメント、山口県における婦人方面委員、鳥取市の貧民対策、石川県の禁酒村と愛育村を取り上げて検討した。いずれの場合も、地方であるからといって、実践や政策の実施が遅れているわけではなく、むしろ先駆的といっていい側面さえある。しかし、それが地域の支配層の意図など、地域における社会事業問題の糊塗に利用されている面があり、全体性に巻き込まれている実態があった。 こうした研究により、社会事業の発展において、自由を踏まえて国民の生活保障を実現していく積極性と、全体性に含めこまれていく性格とが、あるときは対峙し、あるときは共鳴しながら、社会事業が一応は発展していく姿を示していくことができた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)