2015 Fiscal Year Annual Research Report
アジア比較に基づく基礎教育課程の「一貫制」に関する理論的・実践的研究
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24330214
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 統治 放送大学, 教養学部, 教授 (40128046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國分 麻里 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (10566003)
井田 仁康 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (20203086)
濱田 博文 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (20212152)
田中 マリア 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 助教 (20434425)
庄司 一子 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (40206264)
吉田 武男 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (40247945)
唐木 清志 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (40273156)
蒔苗 直道 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (40345939)
塚田 泰彦 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (50163762)
根津 朋実 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (50344958)
岡出 美則 筑波大学, 体育系, 教授 (60169125)
卯城 祐司 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (60271722)
甲斐 雄一郎 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70169374)
大高 泉 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70176907)
礒田 正美 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70212967)
片平 克弘 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70214327)
窪田 眞二 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (80170033)
石崎 和宏 筑波大学, 芸術系, 教授 (80250869)
清水 美憲 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (90226259)
樋口 直宏 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (90287920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一貫制教育課程 / 小中一貫教育 / 中高一貫教育 / 高大接続 / 生涯学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年継続の最終年度に当たる27年度は、中国上海市において補足調査を行うと共に、学会発表と論文発表を行った。そしてこれまでの研究結果をもとに共同研究者による集団討論方式による座談会を3回開催し、各専門分野の立場から理論的な論点を整理し討議の録音記録による研究のまとめを行った。その結果、生涯学習を目標化・一貫化するには学力観の転換だけにとどまらず、教育課程の接続と環境整備まで伴う全体設計と実践・検証が必要なことが確認された。日本の小中一貫教育の場でもこの種の全体論によって生涯学習にとって必要な学習スキル等を習得させるための踏み込んだ提案が求められる。具体的には「学び方を学ぶ」(Learning to learn)、「自立的・自律的な学習者」(Independent and autonomous learners)等の目標表現が示すように、児童生徒が将来「有能な生涯学習者になる」ことを基礎教育課程の主たる目標に明記することが必要である。 そこで実践的研究では、茨城県つくば市の小中一貫教育の指定校において中学校区単位の「学園」学校評価や学校評議会及び調査研究に参加して、とくに独自教科である「つくばスタイル科」のカリキュラム・マネジメントに協力した。生涯学習を目標化・一貫化する上で基礎教育課程の垂直的な全体設計が必要であるが、その理論的課題の多くは教員免許制度や教員養成・採用・研修をめぐる「不整合」をどう再設計し調整するのかというカリキュラム研究とは別領域の問題である。ただしこれを異校種間でのカリキュラム・マネジメントの課題として捉え直せば、「一貫制」の確保を内側から支える教師集団の協働(組織化)と環境整備の優先度が高い。基礎教育課程の「一貫制」は学習活動の高度化を達成するためのものである。小中一貫教育の場でも生涯学習スキル等の習得を図るための実践的共同研究が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)生涯学習社会に向けた基礎教育課程の「一貫制」を見直す必要性に関してはアジア調査結果による裏づけがほぼ行えた。ではなぜ21世紀を展望した日本の教育課程改革においては「生涯学習体系への移行」政策が十分に機能しなかったのか、その理由に関しては十分な検討が行えなかった。この解明不足については小中一貫教育をめぐる集団討論の座談会においても指摘された。とくに2000年代以降の中央教育審議会で「生涯学習の視点」が次第に後退して、近年では言及されなくなったその原因を解明する必要がある。 (2)「一貫制」の概念に関する理論的検討はカリキュラム研究を中心に行われてきたが、学校経営や教師教育の分野ではあまり取り上げられていないようである。カリキュラム・マネジメントが教育課程・教師教育・学校経営の三者を関連づける概念として注目されるが、その概念を実践研究の場で十分には活用できなかった面がある。アジア比較調査の結果をもとにした分野別のグループ研究も期待したほどには行えなかった。 (3)研究成果の発表と報告を研究代表者を中心に行ったが、もう少し多数の共同発表の形で報告を行う必要があった。そこで今後、資料を整理して、科研HPでの発信に努めることとし、できればその成果を出版につなげることを試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長の承認を受けたので、28年度にはアジア調査地域での映像資料等をデジタルブックと連結させて編集する作業を行う。また研究結果の公開を充実させるために当科研のHP上で集団討論記録や講演会の記録等も公表するための準備作業を行う予定である。これにより今後の研究活動や教育活動にこれらの資料を利用する機会を広げる。
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Causes of Carryover |
研究成果の一部としてアジア調査地域の撮影映像をデジタルブックと連結させて編集する作業に時間を要するため延長を願い出た。またこれまでの講演会資料についても最新資料を付けて精緻化する必要がある。1年度延長が承認されたので次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として当科研のHP上において研究報告のデジタルブックと連結させて編集する作業への費用に充てる計画である。
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Research Products
(7 results)