2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
会田 茂樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90222455)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 準古典極限 / 場の量子論 / 大偏差原理 / 確率微分方程式 / 反射境界条件 / スコロホッド方程式 |
Research Abstract |
(1)構成的場の量子論に現れるP(φ)_2ハミルトニアンのスペクトルの準古典極限下での漸近挙動 (2)反射境界条件を持つ確率微分方程式の解のWong-Zakai近似 について研究を行った。 (1)は空間が区間の場合、および空間が実数全体で空間切断が入ったP(φ)_2ハミルトニアンについて (i)最小固有値の準古典極限の決定(h)ポテンシャル関数が対称・二重井戸型ポテンシャルの場合に, 最小固有値とその上の第2固有値の差の指数減衰オーダーがポテンシャル関数のゼロ点間のAgmon距離以上であることの証明を行い、この論文は学術誌に掲載された。 (2)について説明する。係数が十分な滑らかさを持つユークリッド空間上のブラウン運動で駆動されたStratonovich型確率微分方程式を考える。このブラウン運動を折れ線近似して得られるランダムな常微分方程式の解(Wong-Zakai近似)はもとの確率微分方程式の解に概収束することが知られている。ユークリッド空間の領域で定義された内向き法線方向への反射境界条件を持つ確率微分方程式を考える。この場合のWong-Zakai近似の収束については、 (i)拡散係数が定数行列で領域が有界凸領域,(ii)拡散係数,ドリフト係数、領域の境界がC^2 の場合に概収束することが知られていた。実際はLions-Sznitman,税所らの研究にあるようにもっと一般な領域(凸な角を持つような凸とは限らない領域)で強い解の存在が示されているが、この場合は2011年にEvans-Stroockにより弱収束が示されていただけであったが、Wong-Zakai近似解の連続関数の空間での概収束を示すことに成功し、論文を学術誌に投稿した。 この研究は反射壁SDEの駆動過程の汎関数(例えばラフパス)としての研究で重要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
空間が実数全体の場合のP(φ)_2ハミルトニアンのスペクトルギャップの評価が片側であるが得られたこと、および反射壁境界条件の確率微分方程式の解のパスの汎関数としての性質をこれまで知られていたより深く理解できたことは予想外の進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラフパス解析の成果を考慮し、反射壁確率微分方程式のパスの汎関数の解析としての研究を主に推し進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初予定していた研究集会・セミナーへの参加をとりやめたため生じたものであり、次年度以降に実施する外国出張・研究集会への参加・研究者の招聘に必要な経費として、平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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