2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90183053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽家 篤史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40334239)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / 宇宙生物学 / 天体力学 / バイオマーカー |
Research Abstract |
今年度の最大の成果は、太陽系外にある4重惑星系候補であるKOI-94(Kepler Object of Interestカタログの94番)を2012年8月10日にすばる望遠鏡で観測し、内側から3番目に位置する惑星の公転軸と中心星の自転軸がほぼ平行であることを発見したことである。米国のケプラー衛星によって定期的にモニター観測・公開されているこの中心星の明るさの変化のデータから、この系には周期的に中心星の前を横切る「トランジット現象」を起こす惑星(トランジット惑星)が4つ存在していることはすでに知られていた。我々は、この公開データを再解析することで、2010年1月14日から15日にかけて、内側から3番目(公転周期約22日)と4番目(公転周期約54日)に位置する2つの惑星が同時にトランジットを起こし、かつさらにそれら同士もまた互いに食を起こすという極めてまれな現象が起こっていることを見いだした。これは2つの惑星の公転軌道面がほとんどぴったり一致していない限り説明できない。実際に観測データを詳細に解析した結果、この2つの惑星は同じ向きに公転しており、それらの公転軌道面は2度以下の精度で一致していることがわかった。さらにすばる望遠鏡の観測結果と組み合わせることで、KOI-94では太陽系と同じく、中心星の自転軸と、複数の惑星の公転軸が高い精度で揃っていることを結論した。 この成果は、中心星の自転軸と、惑星の公転軸のなす角度を通じて惑星の形成と進化を探るという、本課題の研究目的において本質的な進展である。さらに、この観測的研究を受けて、天体力学的な数値計算シミュレーションも合わせて実行し、その力学的進化の説明を試みている。また、地球型系外惑星の反射光観測を通じて、バイオマーカーとしての水と酸素の吸収線の観測可能性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測的には世界初の惑星食を発見。また、バイオマーカーとしての水と酸素の吸収線の観測可能性を考察し、論文として発表した。また、主星のスピン軸と惑星の公転軸の進化を計算するシミュレーションコードを完成する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度発見した惑星食の研究をさらにすすめて、理論的および観測的な側面からこの惑星系の理解をより深化させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していたプリンストン大学での共同研究を一年順延したため、直接経費1,158,894円分を次年度に繰り越した。 これは9月末から予定しているプリンストン大学での共同研究に学生を含めて出張する旅費と滞在費に使用する予定である。
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