2012 Fiscal Year Annual Research Report
高速・高精度・広時間域スピンダイナミクスイメージング計測装置の開発と応用
Project/Area Number |
24340070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邉 紳一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (10376535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高速スピン制御 / テラヘルツ波 / ファイバーレーザ |
Research Abstract |
本研究課題は、磁気デバイスのテラヘルツ光パルスによるピコ秒スピン制御を目指し、高速・高精度・広時間域スピンダイナミクスイメージング計測装置を開発しその実現に取り組むものである。具体的には、ピコ秒で振動するテラヘルツ瞬時磁場をポンプ源として用い、その後のスピン挙動について近赤外光あるいはテラヘルツ光をプローブに用いて時空間分解観測・評価し、ピコ秒高速スピンスイッチの実現を目指す。この目標を達成するために、平成24年度は以下の3つの研究開発に着手することを研究実施計画に記した。 (1)2umの空間分解能を持つスピン全方位ダイナミクス計測系を構築すること。 (2)広時間域の時間分解スピンプローブ光学系を開発すること。 (3)テラヘルツ光の微弱な偏光回転を検出できるポンププローブ系を開発すること。 (1)については、自作の磁気カー効果顕微鏡装置を構築することで、空間分解能1umで磁区構造を観察できる光学系をくみ上げた。これによって磁気渦構造の可視化に成功した。(2)については与えた周波数に対して繰り返し周波数をロックすることができるフェムト秒ファイバーレーザーを購入し、ミリ秒の時間間隔で出射するテラヘルツパルスと同期して、広時間域の物質の光学応答をプローブできる光学系をくみ上げる準備が整った。(3)については高繰り返しフェムト秒レーザーを用いたテラヘルツ偏光計測装置を組み上げた。これはテラヘルツ光をプローブ光源として用いるときには重要な要素技術である。 以上のことから、平成24年度末の時点でおおむね順調に研究が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で詳細を述べた3つの課題について、(1)は100%以上の達成率で進行している。(2)はファイバーレーザのロック制御に成功したが、再生増幅器との同期が完了していないために達成率は80%である。(3)については偏光計測系の達成度は100%以上だが、ポンププローブ系との組み合わせがなされていないため80%である。従って本課題の達成度についての自己評価は「おおむね順調に進展している。」となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究計画書に記載した、(1)パーマロイ磁気マイクロディスク内の磁気渦スピンダイナミクスの研究を行う。本研究に必要な0.2テスラ以上の瞬時磁場を有するテラヘルツ光は、カナダのAdvanced Laser Light Source(ALLS)と呼ばれる国際共同利用レーザー施設との共同研究で行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に「直接経費次年度使用額」が生じたのは、研究室で0.2テスラ以上の瞬時磁場を有するテラヘルツ光学系を構築することが技術的に難しかったことが主原因である。そこで次年度に資金を持ち越し、平成25年度の予算と合わせ、ALLSとの共同研究で当該課題を達成することを目指す。
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Research Products
(5 results)