2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物起源エアロゾルから捉える東シナ海の生物生産が雲場に及ぼす影響の解明
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24340114
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河本 和明 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (10353450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 有 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (50442538)
齋藤 有 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助教 (60469616)
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エアロゾル間接効果 / リモートセンシング / 海洋化学 / 同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(雲の衛星観測)中緯度の雲場の特徴を調べるため、水雲の雲水総量LWPの量の違いに対して衛星に搭載されたレーダが受信する反射率Zeの頻度分布がどう変わるかを調べた。LWPが小の時以外は概して一山型だが、LWPが小の時は二山型になる。この説明としてZeの小さなピークは雲の発生初期、大きなピークは降雨が終わった衰弱期に対応していると解釈した。 (エアロゾルの数値モデリング)GEOS CHEM化学輸送モデルによる東アジアスケールの大気汚染物質と海洋起源のDMSの輸送シミュレーションを精確に行うには、実測を基にしたデータベールを導入する必要があることが分かった。そのためYang et al. (2011) やZhang et al. (2014)などによる東シナ海周辺におけるDMSの実測値を入力して計算したところ、海洋生物起源のエアロゾルの量は極めて少ないことがわかった。 (海洋化学観測)夏季東シナ海の東部の表層は窒素固定生物によって、懸濁・溶存態有機物量が増加している海域が有ることが、有機物分析とd15N値を組み合わせた解析で明らかとなった。これらの海域では、栄養塩の再生生成速度が、 内湾の湾央域と同様に高くなっており、高いN/P比の有機物から、低いN/P比の栄養塩が生成していた。したがって、再生栄養塩の寄与は、N/P比の高い大気降 下物由来の栄養塩供給が卓越する海域において、一次生産を支える重要な起源であることを明らかにした。 (同位体分析)大村市のエアロゾルの起源を明らかにすることを目的に,2011年夏から2012年夏にかけて採取されたエアロゾル試料の同位体比分析を行った.本年度は特に,鉛同位体比では起源が特定できない試料について,ケイ酸塩成分のSr-Nd同位体比分析を行った結果,鉛濃度の高い時期のダスト粒子の起源は中国内陸の砂漠であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的と上記の研究実績の概要から、(2)のおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋系・雲系ともに26年度までに大半の観測は終えて、27年度は補助的な観測に留める。海洋の生産プロセスと雨への影響を中心にした間接効果のプロセス研究に集中し、学会発表と論文執筆を行う。更に本課題によって生じた新たな課題を、学問的に意味のある問いに昇華する作業を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた国内出張や海外出張(研究会や学会)を行わなかったこと、また海洋化学観測の回数が予定よりも少なくなったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は最終年度であるため、これまで得られた成果を多くの国内学会や国際学会で積極的にアピールする。また必要に応じて海洋化学観測を行う。
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Research Products
(11 results)