2013 Fiscal Year Annual Research Report
複数の機能をもつ星型ポリマーのドミノ精密合成:混ぜるだけの革新的ワンステップ合成
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24350059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金岡 鐘局 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10275167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 星型ポリマー / ドミノ合成 / ワンショット合成 / 刺激応答性 / リビング重合 / カチオン重合 / ビニルエーテル / スチレン誘導体 |
Research Abstract |
平成25年度は, ワンショット合成可能なモノマーの組み合わせの拡張,コアファースト法による合成,コア分解性星型ポリマーの合成について検討した。 1. 複雑な構造の機能性星型ポリマーのワンショット合成に向けたモノマーの検討: 種々の官能基を有するビニルエーテル(VE)とアルコキシスチレン型ジビニル化合物を,四塩化スズを触媒に用いて反応させた。その結果,側鎖にエステル,フタルイミド基などを有する官能性星型ポリマーが高収率で得られた。また,2-クロロエチルVEとp-メチルスチレンのモデル共重合反応から,選択的な共重合反応には,溶媒,触媒に加えて,重合制御に必須である添加塩基の選択も重合であることがわかった。 2. コアファースト法による合成: 二官能性VEとアルコキシスチレンの混合物に四塩化スズを添加すると,分子量分布は広いものの,高収率で星型ポリマーが生成した。また,ドミノ合成の検討と並行して,二官能性VEの単独重合の条件を検討し,比較的構造の制御されたミクロゲルコアの合成に成功した。 3. 分解性星型ポリマーの合成: 芳香族アルデヒドとVEの制御カチオン共重合により得られたポリマーは,酸性条件下で,高選択的に低分子化合物に分解する。そこで,クロロエチルVEをリビング重合し,そこへp-メトキシベンズアルデヒドとVE型ジビニル化合物の混合物を添加した。その結果、比較的高収率で星型ポリマーを得た。この生成ポリマーは,酸性条件下でコア部分に含まれるアセタール構造が容易に分解し、定量的に枝ポリマー(直鎖状ポリマーに)変換できた。また,枝にオキシエチレン側鎖のVEポリマーを用い水溶性コア分解型ポリマーを合成した。生成ポリマーは水溶液中で水に不溶のアゾベンゼンを効率よく可溶化し,酸分解とともに放出することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に,ヘテロアーム星型ポリマーなど種々の構造の星型ポリマーをワンショットで合成することを目的として挙げていたが,そこまで至っていない。しかしながら,ワンショット合成可能な様々なモノマーの組み合わせが明らかとなり,複雑な構造を有する星型ポリマーのワンショット合成に向けて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,ドミノ反応によるブロック型,ヘテロアーム型星型ポリマー,分解型機能性星型ポリマーの精密合成,二相溶媒系を用いた選択的星型ポリマー,ブロックコポリマー合成を検討する。また,生成星型ポリマーからフィルムを作製し,その表面特性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内学会と国際学会の予定の調整がつかず,当初計画に入れていた国際学会への参加を取りやめたことと,試薬等の消耗品を安価で購入することができたことなどが重なり,残金が発生した。今年度は,当初H24年度に予定していた高額備品の購入と,複数回,国際学会に参加することでH24年度の残金とH25年度経費を全て使用できると考えている。 今年度の予算と併せても,それ程大きな金額にはならないため,物品費,複数回の国内学会の旅費,その他の経費で充分使用可能である。
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