2013 Fiscal Year Annual Research Report
垂直配向シリンダー型ナノ多孔膜を反応場とする光合成型光触媒フィルムの開発
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24350067
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50336525)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機能性触媒 / ナノ材料 / 分子認識 / 自己組織化 / 人工光合成 |
Research Abstract |
① 光捕集色素と金属錯体触媒を連結点に導入した共重合体の分子設計 (a) 光捕集アンテナ:5,15位に異なる保護基を持つエチニル基を導入したポルフィリンを合成し、これに親・疎水鎖を順次Click反応させることにより、二つのトリアゾール環を有するブロック共重合体の合成を試みたが、保護基による反応抑制が不十分であったため、親・疎水鎖による非対称置換が困難であった。今後、保護基の構造を再検討する必要がある。 (b) 触媒反応点:親・疎水鎖の連結点にbpyを導入したブロック共重合体を用いることにより、CO2還元触媒として知られる Re(bpy)(CO)3X錯体の導入に成功した。得られたブロック共重合体は、薄膜中で基板に対して完全垂直配向したミクロ相分離構造を与えることを確認した。 ② 光捕集アンテナ-触媒薄膜の構成 配位子の異なる数種類のRe錯体低分子モデル化合物を用いて、亜鉛ポルフィリンからRe錯体への光電子移動によって、効率よくCO2の還元反応が進行する系の探索を行った。ZnTPPの蛍光消光実験の結果から、Re(bpy)(CO)3Xで最も効率よく光誘起電子移動反応が進行することが分かった。また、CO2を飽和させたDMF中でZnTPPとRe(bpy)(CO)3Xを混合し、ZnTPPの励起波長で光照射を行ったところ、気体の生成を確認した。また、前項bで合成した共重合体と、ZnTPPを連結点に有する共重合体を混合し、薄膜を作製したところ、基板に対して垂直配向したシリンダー型のミクロ相分離構造を維持することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光触媒系としては、ZnTPPとRe(bpy)(CO)3Xが最も効率がよいことを見出しており、それぞれを親・疎水鎖の連結点に導入したブロック共重合体を混合することによって、垂直配向シリンダー型のミクロ相分離構造の形成にも成功してる。ポルフィリンのJ会合体形成による光捕集アンテナの高効率化については進捗がやや遅れているものの、次年度に検討を予定している、薄膜中での光触媒反応の検討に必要とされる要素技術はほぼ揃ったものと考えており、おおむね順調に進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
① 光触媒反応系の構築:ZnTPP-Re(bpy)(CO)3X系については、固体膜系への展開を進める。また同時にRu錯体との組み合わせについても検討する。 ② 複核錯体による光捕集系と触媒系の同軸配列の構築:光捕集色素と金属錯体触媒を連結したユニットを、親・疎水鎖の連結点に導入したブロック共重合体を合成し、光捕集系と触媒系がシリンダー周りに同軸配列した構造の構築を目指す。 ③ 自立膜の作製と特性評価:疎水性液晶マトリクス部の光架橋と犠牲層の導入を通じて自立膜化し、物質透過・光反応特性を評価する。また、シリンダー部における物質拡散をより効率化するため、シリンダー部の穿孔についても検討する。
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Research Products
(6 results)