2013 Fiscal Year Annual Research Report
非整数量子数光渦レーザーの創成とテラヘルツ波光渦シンセシスへの展開
Project/Area Number |
24360022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 教授 (30241938)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザー / 非線形光学 / 特異点光学 / 量子光学 |
Research Abstract |
光渦の「角運動量」の大きさは周期的境界条件に由来するトポロジカルチャージと呼ばれる量子数(整数)で特徴づけられる。本研究の目的は、量子力学的にはありえない非整数値(整数値を含む)のトポロジカルチャージを有する光渦(非整数量子数光渦)を高出力にかつ自在に発振できるレーザー(非整数量子数光渦レーザー)を創成することである。 本研究では、「トポロジカルチャージで特徴づけられてきた光波の「角運動量」とは果たして何か?」という「光」の本質を解明するとともに、光渦を利用したナノフォトニクス(超解像顕微分光・カイラルナノ構造体・カイラルメタマテリアル)をはじめとする「非整数量子レーザー物理学」という新奇研究領域を開拓する。さらに、光渦の未踏波長域であった中赤外からテラヘルツ波領域に非整数量子数光渦レーザーの波長を拡張し、極限空間分解能のテラヘルツ分光計測や生体分子集合体のカイラル構造制御を可能にする。 本年度は、昨年度発見した「光渦モードのデコヒーレンス」を積極的に活用して、励起光のトポロジカルチャージを選択的にシグナル光へ転写させることに成功した。この場合、アイドラ―光はガウスビームとなる。さらに、シグナル光とアイドラ―光の差周波発生を行うことで5-10um帯中赤外光渦の発生に成功した。発振した中赤外光渦のパルスエネルギーが5-10um帯で50uJを超えることを観測した。現在、発振波長域をさらに長波長へ拡張するための光渦レーザー、差周波光発生器の最適設計を行っている。 また、非臨界位相整合が可能なLBO結晶を用いた光渦レーザーでは、シグナル光、アイドラ―光がともに非整数量子数光渦となることを観測した。現在、トポロジカルチャージの定量測定を軌道角運動量分解法を用いて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「光渦モードのデコヒーレンス」を積極的に活用することで、励起光のトポロジカルチャージを選択的にシグナル光へ転写させることに成功した。この場合、アイドラ―光はガウスビームとなる。これらシグナル光とアイドラ―光の差周波発生を行うことで5-10um帯中赤外光渦の発生にも成功した。発振した中赤外光渦のパルスエネルギーが5-10um帯で50uJを超えることを観測した。また、非臨界位相整合が可能なLBO結晶を用いた光渦レーザーでは、シグナル光、アイドラ―光がともに非整数量子数光渦となることを観測した。 このように中赤外光渦レーザーの開発、非整数量子数光渦レーザーの開発など、当初目標を上回るスピードで順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、発振波長域をさらに長波長へ拡張するための光渦レーザー、差周波光発生器の最適設計を行っている。また、非整数量子数光渦のトポロジカルチャージを定量測定するため軌道角運動量分解法を開発している。これらの方策により、申請当初の目標を確実に達成する。
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Research Products
(6 results)