2012 Fiscal Year Annual Research Report
風レンズ風車の革新的三次元空力設計法の創出とそのベッツ限界への挑戦
Project/Area Number |
24360072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 雅人 九州大学, 工学研究院, 教授 (30181449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 英男 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70362275)
山田 和豊 九州大学, 工学研究院, 助教 (00344622)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 風力 / 流体工学 / 風レンズ風車 |
Research Abstract |
我が国の風況に適した風レンズ風車では,ディフユーザとつばを組み合わせた風レンズ(集風体)を装着することにより高い集風効果が得られるが,風車周りの流れ場が複雑となる結果,従来の風車設計法の適用が問題となることから,本研究では,風レンズ風車に適用可能な革新的三次元空力設計法を創出することにより,ベッツ限界(風車の理論効率の限界)を超越した高性能風車の実現を探求することを目的とする. 初年度にあたる平成24年度には,まず,子午面粘性流れ解析と翼の三次元逆問題設計を組み合わせて,与えられた風レンズの形状に適した翼車を設計するための「風レンズ風車用翼車の三次元空力設計法」を構築した.具体的には,子午面粘性流れ解析では,子午面(r・z面)内の軸対称かつ粘性流れを仮定し,翼両面の圧力差に基づいた翼力(体積力)として翼作用をモデル化することにより,与えられた風レンズの形状および翼負荷分布の下に,翼力を体積力として付加した軸対称ナビエ・ストークス方程式を数値的に解いて,風レンズの内部流れと外部流れを連成して解析する.翼の三次元逆問題設計では,風レンズで囲まれた内部流れ場において,子午面粘性流れ解析で求まった風レンズの集風量と流入風速分布を流入境界条件とし,設計条件として与えられた翼負荷分布を翼面上の境界条件とする三次元の逆問題を構成することにより翼の形状を求める.以上の風レンズ風車用翼車の三次元空力設計法をコーディングしてプログラム化して,本設計法を適用した新モデル風車を設計・試作した.この新モデル風車について,本学応用力学研究所の大型風洞により性能試験を実施するとともに,大規模な三次元数値解析を行って風車周りの渦流れ構造を詳細に調べた.その結果,新モデル風車は正の失速特性が大幅に改善されており,従来モデルと比べて低周速比まで高出力を保持できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風レンズ風車のための革新的三次元空力設計法の基本となる「風レンズ風車用翼車の三次元空力設計法」の構築が完了し,それを適用した新モデル風車の試作および風洞試験を実施することによって,本設計法の有効性を検証することができ,当初の計画はおおむね順調に進捗している.ただし,感圧塗料を用いた圧力計測が風車の低速流れ場で精度を保持できなかったことから,感圧塗料による翼車の翼面圧力分布の計測が十分に実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築した風レンズ風車用翼車の三次元空力設計法と遺伝的アルゴリズム(GA)による多目的最適化手法とを組み合わせることにより,風レンズまで含めた風レンズ風車全体に対する最適設計技術として,風レンズ・翼車の多目的最適空力設計法を構築する.この最適設計法を適用して得られるパレート最適解について,大規模数値〓〓を行い,パレート解の定性的性質を吟味するとともに,代表的な解を抽出して風洞試験を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
感圧塗料を用いた圧力計測が風車の低速流れ場で高精度を出すことができなかったために,感圧塗料による翼車の翼面圧力分布の計測が十分に実施できなかったことから,助成金の繰越が発生した.次年度は,この対策として,低速流れ場での感圧塗料による圧力計測の精度向上を図るとともに,この圧力計測を補うための大規模数値解析を強化する.
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