2012 Fiscal Year Annual Research Report
グライコブロッティング法を用いた多糖構造解析に基づく膜ファウリング制御技術の開発
Project/Area Number |
24360212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 克輝 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10292054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比能 洋 北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (70333333)
相澤 智康 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (40333596)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MBR / 膜ファウリング / 多糖類 / 加水分解 / MALDI-TOF/MS |
Research Abstract |
次世代の下水処理技術としてMBRがこれまでも注目を集めてきたが、多糖類の付着を主因とする膜ファウリングが阻害要因となってMBRは普及していない。本研究では糖質科学分野において開発された先端的糖鎖構造解析手法であるグライコブロッティング法を導入し、膜ファウリングを引き起こす多糖類(ファウリング多糖)の構造及びファウリング多糖を生産する細菌を明らかにする。グライコブロッティング法は様々な共存成分が存在する生体試料中から糖鎖のみを回収し、糖鎖分析を高感度かつ高速に実施するために開発された技術である。グライコブロッティング法により集積した糖は引き続きMALDI-TOF/MS分析にかける。融LDI-TOF/MS分析結果より糖鎖データベースとの照合を行うためには、試料の分子量が数千以下でなければならない。分子量数十万の下水多糖・ファウリング多糖を分析するためには、グライコブロッティング法適用に先立ち部分加水分解を行い適当な分子量レンジに調整する必要がある。本研究でまず明らかにしなければならないのはグライコブロッティング法の適用を前提とした適切な部分加水分解条件である。本年度は実下水処理場に設置されたパイロットスケールMBRより採取するファウリング多糖へのグライコブロッティング法適用に先立ち、モデル多糖(デキストランおよびキサンタンガム)を用いて試料前処理条件を検討した。LC-OCDを用いた有機物分子量分布測定から、モデル多糖を目的とするオリゴ糖分子量範囲に分解するための条件についてはスクリーニングを完了した。下水処理場に設置したパイロットスケールMBR反応槽内懸濁液中に含まれる多糖(この中の一部がファウリングを引き起こす多糖となる)について同様の加水分解条件適用を検討したところ、MBR内多糖はモデル多糖に比べるとかなり弱い条件(酸濃度、反応時間、温度)での加水分解が適当であることが判明してきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜ファウリング多糖そのものを対象にした部分加水分解条件の決定には至らなかったが、MBR反応槽内懸濁液内より採取した試料を用いた検討により、条件の絞り込みはほぼ終了したと考えている。膜ファウリング多糖試料の採取・保存も実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
膜ファウリング多糖を試料とした部分加水分解条件の検討を速やかに行うとともに、MALDI-TOF/MSスペクトルデータの糖鎖データベースとの照合作業を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
加水分解条件の検討に時間がかかり、グライコブロッティング法の使用回数が少なくなったために未使用額が発生した。グライコブロッティング法を適用する準備は整っており、未使用額は速やかに使用する予定である。
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